王宮まかない料理番は偉大 見習いですが、とっておきのレシピで心もお腹も満たします

まかない婦のまかない②

第1話 身近な人に相談

　意外過ぎることとびっくりしたこと。

　私は今日は、どちらをもいっぺんに味わうことになった。しかし、それを気持ち悪いとも思わなかったのと、ネルヴィスさんの本気の気持ちを少しでも見れた。

　だから、応援しようと思った。

　たとえ、道のりは酷く険しくとも。


「…………………………………………た、隊長が……王女、殿下ぉ！？」


　その日の深夜。

　アーネストさんが厨房にいらっしゃる日だったので、私は味方を増やそうと彼にネルヴィスさんの想いを打ち明けた。直属の上司さんであるし、アーネストさんは驚くだろうけど気持ち悪いと思うことじゃない……と勝手に私が思っただけだが。

　それに、知ったのはもうひとり居ても味方は多い方がいい。

　が、アーネストさんは私が打ち明けると見事に百面相をしてしまったが。


「真実です」

「……本当か」

「はい」

「せやで？　副隊長」

「…………なんでお前までいるんだ。レクサス」


　そう、今日はアーネストさんだけではない。ネルヴィスさんの秘密をうっかり共有してしまったレクサスさんも一緒。

　なので、今晩アーネストさんと一緒に打ち明けたわけだ。


「自分かて偶々やで？　隊長の秘密知ってしまったのは」

「…………偶々？」

「副隊長とは別で書簡配達してたやろ？　それ帰ってきた時に」

「イツキ、何故打ち明けられたんだ？」

「自分無視！？」

「ふふ。えっと……お礼のお弁当を持っていった時にですね？　お話があると言っていましたので」

「…………そうか」


　アーネストさんも驚きはしましたが、拒絶反応などはない。ネルヴィスさんが私に話したと言う事実のお陰で、そこまで隊長さんを疎う気持ちは出てこなかったのかも。


「けど、むちゃくちゃ歳の差恋愛やなあ？　下手すると親子くらいやで？？」


　たしかに、レクサスさんの言う通り。

　十九もだなんて、普通だとまず考えられない。この世界での歳の差婚は離れていてもどれくらいかは、私はまだトリップ仕立てだから知らないに等しい。そう思うと、アーネストさんと一緒になれた私はある意味幸運だけど。


「大変失礼ですが、この世界の歳の差での結婚は平均するとどれくらいですか？？」

「そやなあ？」

「……記録をすべて見たわけではないが、だいたい十程度だと思う」

「そうすると、やっぱり異例ですね……」


　私のいた現代日本とか過去の日本では……なくもないがある意味特殊に変わりない。とくれば、今回のネルヴィスさんとリュシアーノ様の事例もイレギュラーに変わりないだろう。

　リュシアーノ様はまだ小学生の低学年くらいの子供ではあるが、自立した考えをお持ちの方だ。最近は私の料理を見ると、年相応にはしゃぐ場面もあるが。


「しかし、隊長の家柄を考えれば……そちらの障害はない。……だが、第一王女が降嫁する例も多いとは言えないな」

「やなあ？　お世継ぎのジェラルド殿下がいらっしゃると、他国への友好の証……がぼちぼち考えられるわ」

「その……政略結婚って言うのですか？」

「ああ」

「おん」


　いくら、リュシアーノ様がまだまだ子供でも。

　将来的に、王女様と言う身分は自由のようで自由に動けない。陛下が……父親としては娘さんの意志を尊重したいとしても、国王様と言う立場では無理かもだなんて。

　私には、何も出来ないのだろうかと歯痒くなってきた。

　この世界で、初めて助けていただいたネルヴィスさんのお気持ちを無駄にしたくないから。