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王女のまかない③

第2話『鉄板焼きパーティー』①

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 いったいなんなの!? と思っていると……私達が食堂に入った音で気づいたのか、ワルシュがこっちに振り返ってきた。


「よー? リュカルド達!! 今作ってっから席に着いててくれや」


 王族に対しても、尊大みたいな態度。けど、夜遅くのまかないで知ったけど、お父様とは学園以来の悪友なんだって。

 元は英雄級の冒険者だったそうだから、気兼ねない付き合いのようね??

 けど、私やお母様にも似たような扱いなのよね?? 顔は相変わらず怖いけど、人柄を知ってからはあんまり怖くなくなった。イツキのお父さんだからかもだけど。


「あ、いらっしゃいませ」


 イツキも顔を上げてくれた時はいつもの笑顔だった。まだ、男の人になってなきゃいけないのか格好はいつも通りだけど。


(イツキの女の人の服装……可愛かったのに)


 アーネストだけ一緒になるのは、ずるいわ!

 私ももっと、イツキと遊びたいのに!!

 あと二年で、私は幼等部の学園に行かなきゃいけないから……出来れば今のうちに、イツキともっともっと遊びたいもの!!

 けど、今駄々っ子のように騒いでも仕方がないわ。私はイージアス王国の第一王女!! ただの女の子ではないもの!!


「イツキ!! 今日は『オコノミヤキ』って聞いたけれど……!?」


 イツキに近づこうとしたら、なんかの板が物凄く熱かった!? 近づくだけで、お風呂なんかよりも物凄く!!

 慌てて、近づくのをやめたくらいよ!?


「気をつけてください、リュシアーノ様。今、私や料理長が使っている鉄板に触ると……火傷だけですみません」

「てっぱん??」

「金属の板です。綺麗に洗浄して、油を馴染ませたものにしてあります。この上でお好み焼き以外に焼きそばを作っています」

「ヤキソバ??」

「パスタでもうどんでもない、麺料理です。レクサスさんの伝手で用意した東方大陸特産品です」

「!?」


 うどんでも、パスタでもない麺料理!?

 それは是非とも食べてみたいわ!!


「気をつけるから、見ていてもいいかしら??」

「ええ。鉄板料理の醍醐味ですし」


 イツキは二つの黒いヘラのようなもので、たしかに麺を料理していた。うどんはたしか……茹で。パスタも茹でて、上にソースをかけるのが普通なのに。

 イツキが扱っている麺は、パスタよりも細くて茶色で……とってもとってもいい匂いがした!

 麺以外には、緑やお肉が入っているみたい。これを……焼くと言うのかしら??

 ワルシュの方は、丸くてパンケーキよりも分厚い何かを焼いているのだけれど。


「まあ、先輩。そちらのお料理がオコノミヤキですの??」

「ああ、そうだ。イツキが考案してくれたが、美味いぜ??」

「ワルシュ……時間がかかるのか?」

「ちぃっと、な? イツキの方はそろそろ出来上がると思うぜ?」

「はい!」


 ワルシュの言葉通り、イツキがお皿に盛り付けてくれたんだけど……。木屑みたいなのをかけたら、魔法みたいに動いたわ!!?
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