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まかない婦のまかない
第3話『焼きおにぎりでお茶漬け』②
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昼間のように、マントはないが騎士様の装いは素敵だ。小説とか絵本とかにもあるような王子様みたいな服装。
この国では、正真正銘の王子様はまだ生まれたばかりだから見れないが……そう言うのが似合いそうなのはネルヴィスさんらしい、とメイドさんのサフィアさん談。
けれど、あの素敵過ぎる美貌の持ち主さんよりも……私はアーネストさんがずっとずっと気になっていた。ネルヴィスさんももちろん、私の料理を美味しいと言ってくださるが……アーネストさんが言ってくれると胸がときめいてしまう。多分、彼が私を好きになってくれた時と同じくらいに、私も彼を好きになったかもしれない。
息が荒かったが、すぐに落ち着いて……髪を軽くかくとかの仕草でさえ私はときめいてしまう。とりあえず、お茶漬け用に淹れてた東方大陸から仕入れたお茶を焙じたものを、彼に差し出した。
「どうぞ」
「……ありがとう」
コップから伝わる温度でわかったのか、温めに淹れたお茶を一気にあおった。
それから、フライパンを覗こうとしていたリュシアーノ様の方に行き、私はおにぎりが焦げ過ぎていないかをトングで確認していく。
「……いい香り」
「醤油を主体にしたソースで味付けしているんですよ。たぬきおにぎりの『麺つゆ』と似た味わいです」
「このまま食べてもいいの?」
「もちろん。ですが、今日はもっと温かいものにする予定ですよ?」
「……イツキがそう言うのなら、美味しそうね?」
「ふふ」
焼いたおにぎりを人数分深い陶器の皿に入れ、そこにゴマ、大葉を刻んだもの、たたいた梅干し。順にそれらを載せたら……熱々のほうじ茶を注いでしまう。
「これが……?」
「イツキ、オチャヅケ……なの?」
「米のリゾットとは違いますが、スプーンでおにぎりを崩して混ぜてみてください」
「「……じゃあ」」
私はその味を知っているが、異世界であるここでは知らない人が多いはず。
リュシアーノ様もだけど、アーネストさんもスプーンでゆっくりおにぎりを崩して、少しかき混ぜたら口に入れてくれた。
すると、二人ともピコンと肩を跳ねさせた。
「香ばしい……!? 茶の味がするのに、かえって引き立ててくれる!!」
「ちょっと酸っぱいけど……レモンと違って少し甘いわ! こんなお茶も初めて!! スープみたいに合うのね!?」
と言いながら、アーネストさんもだがリュシアーノ様も美味しい美味しいと言いながら、がっつくように食べてくださった。
その食べる勢いに、笑顔が……ああ、この人達に喜んでもらえて良かったと心から思えるくらいに。
私も笑顔になっていると、扉の方から誰かがノックしてきた。返事をする前に開くと、入って来られたのはネルヴィスさんだった。
「やはり、こちらでしたか。王女殿下?」
少し呆れた様子で言われると、リュシアーノ様はしゅんと肩を落とした。
「だって……ネルは忙しいし」
「少々こちらに来るくらいの時間の余裕は取れます。次は、ちゃんと私を呼んでください」
帰りますよ? と、まだ居てもいいのにと言おうとしたら。
『アーネストとごゆっくり』
だなんて、口パクで言われたのだから、恥ずかしくないわけがない。
リュシアーノ様が『ごちそうさまでした』と言ってから、ネルヴィスさんと一緒に帰ってしまい。
厨房には私とアーネストさんだけに。
アーネストさんも、ネルヴィスさんの口パクを見ていたのか、ほっぺが少し赤かった。
この国では、正真正銘の王子様はまだ生まれたばかりだから見れないが……そう言うのが似合いそうなのはネルヴィスさんらしい、とメイドさんのサフィアさん談。
けれど、あの素敵過ぎる美貌の持ち主さんよりも……私はアーネストさんがずっとずっと気になっていた。ネルヴィスさんももちろん、私の料理を美味しいと言ってくださるが……アーネストさんが言ってくれると胸がときめいてしまう。多分、彼が私を好きになってくれた時と同じくらいに、私も彼を好きになったかもしれない。
息が荒かったが、すぐに落ち着いて……髪を軽くかくとかの仕草でさえ私はときめいてしまう。とりあえず、お茶漬け用に淹れてた東方大陸から仕入れたお茶を焙じたものを、彼に差し出した。
「どうぞ」
「……ありがとう」
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それから、フライパンを覗こうとしていたリュシアーノ様の方に行き、私はおにぎりが焦げ過ぎていないかをトングで確認していく。
「……いい香り」
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「このまま食べてもいいの?」
「もちろん。ですが、今日はもっと温かいものにする予定ですよ?」
「……イツキがそう言うのなら、美味しそうね?」
「ふふ」
焼いたおにぎりを人数分深い陶器の皿に入れ、そこにゴマ、大葉を刻んだもの、たたいた梅干し。順にそれらを載せたら……熱々のほうじ茶を注いでしまう。
「これが……?」
「イツキ、オチャヅケ……なの?」
「米のリゾットとは違いますが、スプーンでおにぎりを崩して混ぜてみてください」
「「……じゃあ」」
私はその味を知っているが、異世界であるここでは知らない人が多いはず。
リュシアーノ様もだけど、アーネストさんもスプーンでゆっくりおにぎりを崩して、少しかき混ぜたら口に入れてくれた。
すると、二人ともピコンと肩を跳ねさせた。
「香ばしい……!? 茶の味がするのに、かえって引き立ててくれる!!」
「ちょっと酸っぱいけど……レモンと違って少し甘いわ! こんなお茶も初めて!! スープみたいに合うのね!?」
と言いながら、アーネストさんもだがリュシアーノ様も美味しい美味しいと言いながら、がっつくように食べてくださった。
その食べる勢いに、笑顔が……ああ、この人達に喜んでもらえて良かったと心から思えるくらいに。
私も笑顔になっていると、扉の方から誰かがノックしてきた。返事をする前に開くと、入って来られたのはネルヴィスさんだった。
「やはり、こちらでしたか。王女殿下?」
少し呆れた様子で言われると、リュシアーノ様はしゅんと肩を落とした。
「だって……ネルは忙しいし」
「少々こちらに来るくらいの時間の余裕は取れます。次は、ちゃんと私を呼んでください」
帰りますよ? と、まだ居てもいいのにと言おうとしたら。
『アーネストとごゆっくり』
だなんて、口パクで言われたのだから、恥ずかしくないわけがない。
リュシアーノ様が『ごちそうさまでした』と言ってから、ネルヴィスさんと一緒に帰ってしまい。
厨房には私とアーネストさんだけに。
アーネストさんも、ネルヴィスさんの口パクを見ていたのか、ほっぺが少し赤かった。
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