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第115話 主の機嫌

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 この雰囲気……私は苦手だ。

 嫌ではないのだが。


「んふふ~~!!」

「…………」


 朝、なのだが。

 我が主の……風と地の大精霊である珀瑛ハクエイ様。

 元は人間だったが、神の御意向により……同じく大精霊となった、鏡羅ミラ

 このおふたりが、昨日めでたく『番』となられたのだが。

 本来の意味で、契りは交わしていないようだ。

 おそらく、ただの共寝だけしかしていないはずなのに……主の方は異常に機嫌が良く、ミラは物凄く恥ずかしがっている。

 契り以上の、何か変化があったのだろうか?

 しかし……ミラからは、ほんの少ししか主の気配を感じない。

 気になったが、今は朝食の時間なので黙々と食べていくしかない。

 ならば、ここはひとつ。


【ミラ、ちょっと良い?】

「? はい?」


 私が呼ぶと、ミラはちょうど飲んでいたカフェオレのコップをテーブルに置いた。


【今日、主らとお出かけする予定は?】

「え、特……には?」

「せやな? 龍羽リュウハ様には呼ばれとらんし。解決する部分は解決したしなあ?」

【じゃ、今日のミラの時間……私に貸して欲しい】

「え?」


 この屋敷精霊、風珀フウハク

 主とその番のために、ひと肌脱ごうではないか!!

 ミラが無事に、大精霊として覚醒し……改めて、主の番となって過ごしていくのならば。出来る限りの事をしよう。

 朝食を終えてから、まず私はミラと一緒に……ミラの部屋へ行くことにした。


【さ、ミラ。私の聞くことに答えて?】

「は、はい」


 ミラは、自分の方が高位の存在となっても……私とかへの接し方は今まで通りだ。

 そのいじらしさが好ましくも思い、私はますますミラと主の関係を応援したかった。


【……主の機嫌がめちゃくちゃ良い。あれは何が?】

「あ、あれ……は」


 りんごのように顔を赤くするミラは可愛いが、ここはきちんと答えをもらわなくちゃいけない。


【……昨夜、本当に一緒に寝ただけ?】


 内容としては、これについてだと予測していたが。

 ミラに聞くと、思いっきり頷かれてしまった!?


「ほ……ほんと、に、ご、ご一緒……に寝た、だけ……です」

【……じゃあ、あの機嫌の良さは?】


 主としては、相当我慢したはずなのに……あんなにも機嫌がいい理由にはならないと思う。

 再度聞くと、ミラはさらに顔を赤くして……縮こまっていく。


「……よ、呼び名……を変えただけ、です」

【呼び名?】

「……ハク、様……と」


 それは、たしかに主が喜びそうなことだ。

 食卓では聞かなかったが……それであれば、主はあれだけ喜ぶだろうが。

 だが、しかし!!


【それだけ!?】


 お互い、初心過ぎではないか!?
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