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第113話 寝起き

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 気がついたら、朝になっていた。

 珀瑛ハクエイ様に、抱き締められながら……起きたのだと思う。

 寝起きでぼんやりしていたが、昨夜は口付けのみで共寝したことを思い出した。ゆっくりと、全身を見ても、寝巻きから着崩れていないし……特になにも感じない。

 身体については、だが。

 気持ちとしては……恋慕う方に抱き締められているので、心臓辺りがバクバクして非常に落ち着かない!!


「……ん」


 珀瑛様が、起きられたのだろうか。

 うなじにかかる吐息が、非常に艶めいている気がした。

 私の女としての感情が、とてもときめいてしまう。

 げにおそろしや、美貌の大精霊様である。私も今は大精霊ではあるけれど。


(……珀瑛様)


 吐息をこぼしたことで、少し腕の力が弱まったと思う。

 身体の向きを変えてみると……ちょうど珀瑛様と向かい合わせになることが出来た。

 眠っていらっしゃるが……お美しい顔立ちに、私は『ほぅ』とため息を漏らしてしまう。

 艶やかな玉肌。

 柔らかそうな唇。

 絶妙な位置にある目鼻。

 長いまつ毛。

 他にあげたらきりがないが……珀瑛様のお顔は整い過ぎていた。私など、足元にも及ばないくらい。

 触れたら起きてしまわれるだろう。

 だから、もう少し……と、眺めていたかったのだが。

 起きたのが少し早かったのもあり、また眠気がやってきてしまった。

 そのまどろみに逆らうことなく、私は眠りについたのだが。

 次に起きた時には……柔らかく頭を撫でられていたため、ゆっくりと目を開けてみれば。

 とても、慈しみの表情で私を見ながら頭を撫でて下さっていた、珀瑛様が見えた。


「……おはようさん」

「…………おはよう、ございます」


 嬉しくて、つい笑顔を浮かべてしまうと……珀瑛様が顔を近づけてきて、軽く唇を重ねてくださった。


「……朝から、かわええ顔せんとって」


 襲いたくなるやん。

 その言葉に、私は全身から汗を吹き出しそうになった!!

 大精霊だから、汗とはもう無縁なのに!?
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