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第64話 元聖女も知る

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 お昼寝……をしていた間のことがあまりよく覚えていないのだけれど。

 けど、珀瑛ハクエイ様や他の大精霊の方々に……また心配していただくことが起きたのだ。しっかりしなくてはと思わないわけがない。

 精霊王様である龍羽リュウハ様に……きちんと頷けば、龍羽様は……軽く目を伏せられた。


「君の身体……と言うより、魂なんだけど」

「たましい?」

「身体以上に、大切な部分とでも思って? それがなければ……人間だろうが精霊だろうが生きてはいけない」

「……はい」


 私にもわかりやすくご説明いただいたので、なんとか理解は出来た。


「その魂の中に……君を妬む者。えっと……君の事を悪く思う連中がいたんだ。あいつらの悪い気持ちに、君の魂は侵食されようとしていたんだ」

「私を……ですか?」


 思い当たることと言えば……あの王族。

 まだ三日も経っていないのに、彼らから追放されたのがとても遠い昔のように思えた。

 それが顔に出ていたのか、龍羽様は強く頷かれた。


「そう。ミラもわかっただろうけど……ミラを追放したあいつら。あれらは……今、神から罰を受けているんだ」

「え? 罰?」


 私が役に立たないからと……追放しただけで、罰を受けていると言うのだろうか?

 わからないでいると、龍羽様はにっこりと微笑んだ。


「仮にも、神から称号を賜った『聖女』を追放だよ? 何か起きても全然不思議じゃない。其れ相応の処罰を受けて当然」

「けど……私は、ちっとも役立たずで」

「そんなことはない。僕ら精霊には……君の召喚術がなければ消えていた。何度も言うけど、僕らに君は必要なんだ」


 ぎゅっ、と小さな手で握っていただき……私は、ふっと力が抜けて、地面に膝をついてしまった。

 慌てて、皆さんに立ち上がらせていただいたが。


「……ありがとう、ございます」


 どうしても泣いてしまうが、まだお話は終わっていなかった。


「続きだけど……君がかつて、財宝として召喚させたものとかは、全部土くれ……僕らに召喚してくれた『ゴミ』そのものになったんだ」

「え?」

「そして……神からの怒りに触れた。相応の処罰は……身体だけでなく、魂にも侵食しているらしい。死にはしないけど……いずれ、あの国は終わるよ」

「……わ、たし……のせいですか?」

「逆、逆。全部あいつらの所為」


 そうはおっしゃっていただけても。

 何故か、心は苦しい……。

 親から引き離した存在ではあったが。

 なんだかんだ言えど……彼らは、私の親代わりのようなものだったからだろう。
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