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第十九章 出戻り⑤
第2話 代わりにいたのは
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あと少しで、あのダンジョンマスターさんやダンジョンコアがある階層に辿り着くことが出来る。
けど、フランツが回復している間……僕だけでどこまでお役に立てられるか。
ちょっと心配だったけど……このダンジョンを最初に攻略した時とは違う。僕以外にも頼もしい人達がいるんだから!!
「あのダンジョンマスターとやらが、いつお出迎えに来るかもわかんねぇ。俺が先頭に行くぜ」
と、レイザーさんがそう言ってくださったので、真ん中を僕とマシュさんが。後ろはジェフさん。
下の階層へは岩をどかしたら、普通の階段があったので壊れないか慎重になりながら降りていく。
僕はフランツが寝ているので、気配を探るとかは出来ないけれど……なんか、嫌に静かな気がした。
新しいモンスターとかはいなくて、とっても静かだ。
だけど、油断はできないので……全員降りたら、レイザーさんが灯りの魔法をいくつか浮かばせた。それくらい、手前も奥も真っ暗だったからだ。
そして、次第に見えてきた先には。
『やっと来てくれたか……』
いたのは、ひとりの女の子。
水色の髪で、マシュさんと同じような年齢と背丈のエルフさんだった。ダンジョンマスターさんではなかったけど……今なんて言った?
「待ってた? 俺らをか??」
『魔眼の所持者……君ではない。後ろにいる……ここの魔剣を持って行った少年だ』
「……あなたは?」
僕は会ったことがないのに、彼女は僕を知っている感じだ。思わず聞き返すと……彼女は大きく息を吐いた。
『ワタシは……ダンジョンコアの分身体』
「「「「は!?」」」」
『そして、少年が持つ魔剣を……このダンジョンに導いた者』
「ふ……魔剣、を?」
『もとは、稼働制限の楔として導いた……しかし、君が触れたことで適合し……ダンジョンの外で生きることを選んだ』
この言葉を聞いても、フランツは起きる気配がない。
「……返してってことですか?」
『今更無理なのは承知。しかし……少し手助けを求めたい。我がコアから生じた、ダンジョンマスターが勝手なことをしたため……信じてもらえないだろうが』
「「ったりめぇだ!!」」
コア……さんの話に、ジェフさん達は当然怒った。
僕でも、ちょっと意味がわからないと思うよ? ダンジョンコアさんが助けを求めても、今まで邪魔をして来たのは似た存在であるダンジョンマスターさんだったんだから。
『……まあ。あれについては、いくらか仕置きをしてきた』
「「「「仕置き??」」」」
『少しあそこを見てくれ』
と、綺麗な指でコアさんが向けた方向には……あのダンジョンマスターさんが、たんこぶをいくつも作って地面に突っ伏していた。大怪我とかは見えないけど、死んでもいないみたい。
「「ありゃぁ……」」
『ワタシは君達が来るまで、君達の実力を見た上で頼み込もうとしていた。だが、ダンジョンマスターはワタシを使い過ぎた上で君達に迷惑をかけた。なら……出来ることと、対話をしやすい格好になるだけ、印象は悪くないだろう?』
「……ですの」
どうやら、コアさんはコアさんなりに、ダンジョンマスターさんに対して怒っているみたいだった……。
けど、フランツが回復している間……僕だけでどこまでお役に立てられるか。
ちょっと心配だったけど……このダンジョンを最初に攻略した時とは違う。僕以外にも頼もしい人達がいるんだから!!
「あのダンジョンマスターとやらが、いつお出迎えに来るかもわかんねぇ。俺が先頭に行くぜ」
と、レイザーさんがそう言ってくださったので、真ん中を僕とマシュさんが。後ろはジェフさん。
下の階層へは岩をどかしたら、普通の階段があったので壊れないか慎重になりながら降りていく。
僕はフランツが寝ているので、気配を探るとかは出来ないけれど……なんか、嫌に静かな気がした。
新しいモンスターとかはいなくて、とっても静かだ。
だけど、油断はできないので……全員降りたら、レイザーさんが灯りの魔法をいくつか浮かばせた。それくらい、手前も奥も真っ暗だったからだ。
そして、次第に見えてきた先には。
『やっと来てくれたか……』
いたのは、ひとりの女の子。
水色の髪で、マシュさんと同じような年齢と背丈のエルフさんだった。ダンジョンマスターさんではなかったけど……今なんて言った?
「待ってた? 俺らをか??」
『魔眼の所持者……君ではない。後ろにいる……ここの魔剣を持って行った少年だ』
「……あなたは?」
僕は会ったことがないのに、彼女は僕を知っている感じだ。思わず聞き返すと……彼女は大きく息を吐いた。
『ワタシは……ダンジョンコアの分身体』
「「「「は!?」」」」
『そして、少年が持つ魔剣を……このダンジョンに導いた者』
「ふ……魔剣、を?」
『もとは、稼働制限の楔として導いた……しかし、君が触れたことで適合し……ダンジョンの外で生きることを選んだ』
この言葉を聞いても、フランツは起きる気配がない。
「……返してってことですか?」
『今更無理なのは承知。しかし……少し手助けを求めたい。我がコアから生じた、ダンジョンマスターが勝手なことをしたため……信じてもらえないだろうが』
「「ったりめぇだ!!」」
コア……さんの話に、ジェフさん達は当然怒った。
僕でも、ちょっと意味がわからないと思うよ? ダンジョンコアさんが助けを求めても、今まで邪魔をして来たのは似た存在であるダンジョンマスターさんだったんだから。
『……まあ。あれについては、いくらか仕置きをしてきた』
「「「「仕置き??」」」」
『少しあそこを見てくれ』
と、綺麗な指でコアさんが向けた方向には……あのダンジョンマスターさんが、たんこぶをいくつも作って地面に突っ伏していた。大怪我とかは見えないけど、死んでもいないみたい。
「「ありゃぁ……」」
『ワタシは君達が来るまで、君達の実力を見た上で頼み込もうとしていた。だが、ダンジョンマスターはワタシを使い過ぎた上で君達に迷惑をかけた。なら……出来ることと、対話をしやすい格好になるだけ、印象は悪くないだろう?』
「……ですの」
どうやら、コアさんはコアさんなりに、ダンジョンマスターさんに対して怒っているみたいだった……。
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