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第十七章 出戻り③

第1話 最終階層では①

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 色々面倒ですねぇ。

 擬似コアを設置して、様子見をしようとしたのですが……。

 一番上の階層は、あの聖槍の持ち主がなんなくと。二番目は複数用意しましたのに……エルフの少女が持つ特性、『エルフの勘』とやらで構造などを理解されてしまった……。


『面倒なことですねぇ……?』


 しかも、水晶越しに見えましたが。また屈強な体格の男が加わった様子。

 このまま、擬似コアを増やしたところで……エルフの少女も同行していますし、また似た対策を取られるでしょう。

 あの少年は……このダンジョンで魔剣を抜いた後、良い出会いがあったのでしょうね? 身綺麗に整えたこともですが、ひとりで攻略するような無謀な策を練るきらいがなくなりました。


『……しかし、思い出せないですねぇ?』


 記録ログを検索してみたのですが……似た容姿の男は出てきましたが、それが『誰』と言うのはさっぱりわからない状態です。擬似生物のダンジョンマスターとしては、正確に対処せねばならないのにいけないことですが……思い出せないものは思い出せません。

 相当昔の記録ログでしょうか。ワタクシがまだ、ダンジョンコアから切り離さてた存在になる前かどうか。


『…………ダンジョンコアが?』


 コアに振り返っても、コア本体は鈍く光を放っている程度。ワタクシの意識とは切り離された存在。稼働能力はあちらですが、細かいところはすべてワタクシが作動させています。

 となれば、あの記録ログはコア本体がワタクシに流したものか……。

 ワタクシは、コア本体の前に立つことにしました。


『…………ダンジョンコア、答えていただきたいのです』


 ワタクシが前に立とうとも、コア本体は……鈍く光る程度。先程からまったく反応を見せません。



《……………………問いに答えよと?》



 しばらくして、ようやく反応を見せていただきました。

 ワタクシより幾分か幼い少女の声ですが……随分と久しぶりに聴きますね? 最低三百年は聴いていません。


『はい。あなたとワタクシの記録ログにある男と……魔剣を奪ったあの少年。共通点があると、ワタクシは感じるのです』

《…………是》

『関係があるのですね!』


 しかし、簡潔な返事をする以外、コア本体はあまり答えようとしてくれません。


《…………真実を今問い詰めても仕方ない。あれらが来るまで、待て》

『…………いずれ来るのを待てと?』

《そこで示す》


 となれば、下手に妨害するのは得策ではない?

 しかし、あの魔剣はこのままでは、このダンジョンに戻らないでしょう。

 コア本体はそれを承知の上で、彼らを迎え入れようとしているのですか?

 意味がわかりません!!
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