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第十五章 出戻り①

第2話 槍の合わせ技

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 一体……二体……。

 最初は数を数えていたが、だんだんと数えていく余裕もなくなってきた。

 僕らが先に来たので、応援の冒険者さん達はまだ来ていない。

 マシュさんも、最初は僕とジェフさんの背に守られながら待機していたけど……だんだんと取りこぼしが出てきたので、自分のメイスを使って戦っていた。

 歳上でも、種族が違うからって冒険者じゃないのに戦わせるのは申し訳ないと思うが……自分でここに来たいと言ったんだ。自分なりに覚悟はしているのだろう。


「しゃらくせぇ!! 嬢ちゃん、トラディス!! ちぃっと離れてろ!!」

「ですの?」

「ジェフさん?」

「なーに、ちぃっと派手に暴れるだけだ!!」


 と言うことは、アークさんを使った……フランツで言うレーザーソード的な大技を出すのかな?

 マシュさんと頷き合い、目の前のモンスターを倒してから……ジェフさんから距離を置き、出来るだけ離れた。


(……なんでだろう、こんな事態なのに)


 コンビの持つ技量を見られるのが……楽しくなってきたと思ってしまう。

 ジェフさんの攻撃は、いつだって精錬されていて……見ているだけで、勇ましく、美しく見えるからだろう。ちょっとしたこれまでのモンスター討伐をしてきた中で、思うようになっていたのだ。


「第、四……あわせて、五の突き!!」


 ゆっくりと……しかし、慌てずに足の動作とアークさんを持つ腕が構えを変えていく。

 ドキドキしながら見守っていると、ジェフさんは横に大きくアークさんを構えた。


「合わせ技​───一縷いちる!!」


 横に大きく振っただけなのに、光の帯が見えて……と思ったら、目前まで迫っていたモンスターの群生が跡形もなく消えてしまった。残骸もなにも残さずに……。


「「す……凄い!!」」


 思わず、マシュさんと同時に声を上げてしまうくらいだった。


【凄いが……ありゃ、なんべんも撃てん技やで?】


 ひとり? フランツは事態を正確に判断していた。

 と言うことは、ジェフさん今結構無茶したってことなんだ……。


「あ~……腹減った」


 それどころか、悠長にお腹空いたって地面に転がっているんだけども!!?


「ジェフさん!? 大丈夫ですか!!?」

「身体は平気だ……。ただ、大技出すと腹減るのが欠点だ」

「向こうのダンジョンの時はそうでもなかったような……」

「合わせ技はな? 魔力とかを結構使うから…………アークに吸い取られんだよ」


 と最後は、僕にこそっと教えてくれた。


「ん~~。モンスターは今来る気配はないですの」


 で、マシュさんはエルフの勘で今はモンスター襲撃も大丈夫だとは言ってくれたので……即席で、ついこの間仕込んだチャーシューを使って三人で仲良く、チャーシュー丼を食べることになった。

 マシュさんも初めての味だから、とても美味しいと何度も言ってくれたよ。
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