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第十四章 野営料理じゃない
第5話 フランスパンの憂鬱
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ワイのせいかもしれない……。
マスターがワイを 抜いたことで……ワイが留まっていたあのダンジョンが暴走を始めたかもしれんと判断された。
ワイはただ……マスターが来るのを待ってただけ。
製作者が誰だと言うのは、記憶に刻まれていないが……とにかく、『トラディス=クレイヴ』を待っていた。
どんな屈強な男かどうかとか……弱い意識の中でそんなような事を考えていたわ。
知性のある武器やから、擬似的な魂があったせいや。実際のマスターは、ひょろっこくて随分と幼かった。
んで、めちゃくちゃぼろぼろの格好だったんや。こんな鼻垂れ坊主がワイの主か? とちょっと凹んだが、ワイの認証ではきちんと認められた。
そっからは……ワイの予想を越えるもんやった。弱々しかったマスターはワイを振るうのを躊躇わずに……次々と出てくるモンスターを倒していった。
それと、もともと脚が早いのか……ちゅーか、逃げ足も早かったけども。
関わっていた連中から抜け出し、ひとりで生きていく事を選んだみたいや。
だから……ワイは親代わりでもなんでもないけど、マスターがほっとけないと思った。
事実、そんなこんなで似たような武器であるアークはんを振るう……ベテラン冒険者の旦那にも出会えた。
コンビを……組みたいと申し出があるくらい、マスターも頑張ったんや。
ワイは、嬉しゅうて嬉しゅうてたまらんかったのに。
(……あのダンジョンが、か)
旦那や嬢ちゃんと攻略した場所に居ったような……あの姉御はんのような、ダンジョンマスターが居ったかは、正直わからん。
もしいるとしたら……ワイを戻すのに誘うためか??
どちらにしても、アホな考え方でしかない。
せっかく、旦那の機転で療養も始めたばかりのマスターにまた迷惑をかけてまうだけや。
(……けど、マスターはやる気や)
腹ぺこぺこで自信無さげだった、坊主でしかなかったマスターやない。
少しずつ……少しずつやけど、短期間で成長しているんや。
ジェフの旦那もやけど、結局はマシュの嬢ちゃんも本音ダダ漏れだが……マスターについて来てくれる。
マスターの記憶しか読んでないが……仲間を仲間として扱ってこんかった、あのアホンダラ連中と過ごしていたことで……多少のトラウマはあんのに、マスターは笑顔や。
もともと、芯の部分は強かったんやろな?
でなければ、ワイの唯一のマスターちゃうから。
(……あんま心配かけさせる事態でないで欲しいわ)
アークはんと違って、睡眠をあんまり必要としないワイは……もたれかかっとる壁から、ベッドで幸せそうに寝とるマスターを眺めながらもため息を吐いた。
マスターがワイを 抜いたことで……ワイが留まっていたあのダンジョンが暴走を始めたかもしれんと判断された。
ワイはただ……マスターが来るのを待ってただけ。
製作者が誰だと言うのは、記憶に刻まれていないが……とにかく、『トラディス=クレイヴ』を待っていた。
どんな屈強な男かどうかとか……弱い意識の中でそんなような事を考えていたわ。
知性のある武器やから、擬似的な魂があったせいや。実際のマスターは、ひょろっこくて随分と幼かった。
んで、めちゃくちゃぼろぼろの格好だったんや。こんな鼻垂れ坊主がワイの主か? とちょっと凹んだが、ワイの認証ではきちんと認められた。
そっからは……ワイの予想を越えるもんやった。弱々しかったマスターはワイを振るうのを躊躇わずに……次々と出てくるモンスターを倒していった。
それと、もともと脚が早いのか……ちゅーか、逃げ足も早かったけども。
関わっていた連中から抜け出し、ひとりで生きていく事を選んだみたいや。
だから……ワイは親代わりでもなんでもないけど、マスターがほっとけないと思った。
事実、そんなこんなで似たような武器であるアークはんを振るう……ベテラン冒険者の旦那にも出会えた。
コンビを……組みたいと申し出があるくらい、マスターも頑張ったんや。
ワイは、嬉しゅうて嬉しゅうてたまらんかったのに。
(……あのダンジョンが、か)
旦那や嬢ちゃんと攻略した場所に居ったような……あの姉御はんのような、ダンジョンマスターが居ったかは、正直わからん。
もしいるとしたら……ワイを戻すのに誘うためか??
どちらにしても、アホな考え方でしかない。
せっかく、旦那の機転で療養も始めたばかりのマスターにまた迷惑をかけてまうだけや。
(……けど、マスターはやる気や)
腹ぺこぺこで自信無さげだった、坊主でしかなかったマスターやない。
少しずつ……少しずつやけど、短期間で成長しているんや。
ジェフの旦那もやけど、結局はマシュの嬢ちゃんも本音ダダ漏れだが……マスターについて来てくれる。
マスターの記憶しか読んでないが……仲間を仲間として扱ってこんかった、あのアホンダラ連中と過ごしていたことで……多少のトラウマはあんのに、マスターは笑顔や。
もともと、芯の部分は強かったんやろな?
でなければ、ワイの唯一のマスターちゃうから。
(……あんま心配かけさせる事態でないで欲しいわ)
アークはんと違って、睡眠をあんまり必要としないワイは……もたれかかっとる壁から、ベッドで幸せそうに寝とるマスターを眺めながらもため息を吐いた。
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