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第十三章 堪能しつつも
第4話 おまんじゅうの種類
しおりを挟む『フランツ、ヤキブタってなーに??』
もう一回温泉に入って、マシュさん達へのお土産を選びながら……僕はフランツにテレパシーで質問した。
【おん。文字通り、焼いた豚肉のことや。けんど、ただ丸焼きにするのとちゃうで?? 柔らかくて、甘辛くて……薄く切るのもよし、ガッツリ分厚く切るのもよし!! スープの具材にも酒の肴にもなる料理なんや】
『……とにかく、すごく美味しいものなんだね??』
説明を聞いただけだと、料理はまだまだ初心者レベルの僕じゃさっぱりだ。
「お兄さーん! おまんじゅうに悩んでいるんでしたら、これおすすめですよー?」
フランツとテレパシーをしながら、マシュさん達へのお土産に悩んでいたら……門前で僕におまんじゅうをくれたお姉さんがお店の中にいた。多分だけど、交代してこっちに戻ってきたのかな??
「お姉さん」
「モンスター討伐ありがとうございました!! 私は見てないんですが、リジェクターさんもですけど、お兄さんもお強いんですね!」
「あ、トラディス=クレイヴと言います」
「クレイヴさんですね! さ、ちょっと試食しませんか?? クレイヴさんはおまんじゅう気に入ってくださいましたし、お持ち帰り用ですと……さっき言いかけましたが、こちらはどうでしょう??」
と言って、お姉さんは少しずつ切り分けた色とりどりのおまんじゅうを出してくれた。
食べていいのか、もう一度聞くと……お姉さんはもちろんだと言ってくれたよ。
「じゃぁ……」
遠慮しなくていいとわかったので、四つ用意されたおまんじゅうのかけらを、一個ずつ食べていく。
赤は、ちょっと甘酸っぱい。
ピンクはふんわり花の香りが。
緑は、草の香りがするけど嫌な風味じゃない。
黄色は、ちょっとこってりしてるのに、あとはさっぱり食べれる。
どれもが、一番となってもいいくらい美味しかった。
「ふふ。お顔で分かりますよ? 気に入られましたね??」
「はい! これ……詰め合わせですか??」
「はい。四種類が二個ずつですね」
「じゃあ、三つください!!」
「毎度あり!!」
二個は、マシュさんとエクレアさんに。あと一個は僕とジェフさんがあとで食べれる用に。
ジェフさんにそう告げると、せっかくならおまんじゅうに合うお茶も買おうと、お姉さんに聞いてそのお茶もすぐに購入。
夕飯までは、まだ時間があるので……また温泉に。
何回入っても気持ちがいいので、お風呂以上に僕は気に入ってしまった。
「明日には、傷痕もまあまあマシになるだろ」
ジェフさんがそう言うくらいに、僕の打撲とかで出来た傷痕が……ちょっとずつ消えていった。ジェフさんの体にある傷は古傷だからか、痕も消えないんだって。僕のは、まだ比較的最近だから……。
(…………あの人達、牢屋でずっと過ごすだけで済むのかな?)
元パーティーメンバーで、今は罪人になってしまった彼ら。
僕への虐待だけじゃなく、いけない事の取引もしていたってエクレアさんは言っていたけど……今思うと、誰がそんな悪いことを始めてしまったのだろうか??
冒険者を始めた時は、本当に良い人ばかりだったのに……一度手を染めたら癖になるって、ジェフさんに言ったらそう返答があった。
なら、その一度で……僕を奴隷のように扱うことを楽しみ、得られる報酬に酔いしれた。
絶対、僕はそうならないようにしようと決めた。
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