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第十三章 堪能しつつも

第1話 束の間の

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 結構……食べた。

 はち切れるって言い方が合っているくらい、たくさんご飯を食べた!

 足湯で気持ちよくなったお陰もあるかもしれないけど、本当によく食べた。お金はジェフさんが支払ってくれた……と言うより、僕とジェフさんの共同貯金枠って決めた部分から出した。

 僕もちょっとだけお金は貯めていたけど……ジェフさんの方が冒険者としての収入が段違いに凄い。だけど、コンビになったんだからお金はきちんと折半などや管理が必要だからと……フランツとも相談して、共同貯金というのを作った。

 僕のとりあえずの貯金と、ジェフさんからも同じくらいの金額をいただき……ジェフさんが管理してくださった。まだまだ駆け出しの僕じゃ、金銭感覚が色々わかんないからね?

 お金を払って、店員さんからタオルを借りて足湯から出た後……別の店員さんが僕らの方に駆け寄ってきた。


「大変申し訳ありません!! 外にモンスターがいきなり大量発生したとの連絡が!!」


 お客として来ている冒険者に、僕らだけじゃなくて全員に声をかけまわっているらしい。

 僕はジェフさんを見ると、彼はいい笑顔になっていた。


「腹ごなしにいっちょ行くか??」

「はい!!」


 なので、フランツとアークさんを取りに行くのに急ぎ、受付のお姉さんも事情を聞いたようなのですぐに返却してくれた。


【おっしゃ、行くで!!】

『うん!!』


 気力もお腹も満たされている今なら……どんなモンスターでも対処出来る気がした!!

 例のレーザーソードとかは使わないけど……ジェフさんの後ろを置いてかれないようについていく。途中、僕の方が脚が速いので追い抜きそうになったが……現場らしいところに行けば、先に対処していた冒険者さん達がモンスターを倒していた。


「いっくぞ、トラディス!!」

「はい!!」

「『シリウスの風』のお通りだ!!」


 堂々と名乗っちゃうのが、ちょっとだけ恥ずかしかったけど……でも、僕もその一員なんだ!!

 だから、危ないと思ったモンスターの攻撃を受けそうだったお姉さん冒険者さんのところに、すぐに飛び込んでからフランツを勢いよく振るった!!


「だ、誰!!?」


 いきなりの出来事だったから、当然お姉さんは僕の割り込みに驚いていた。


「『シリウスの風』のトラディスと言います。加勢に来ました!」


 えいやー、と斬りかかろうとしていたナイト装備のホブゴブリンを倒し、お姉さんには軽く腰を折ってから次のモンスターを倒しに向かう。

 その辺に集まっているのもだけど、一対一で戦っているところに割り込もうとしている奴とか。

 僕自慢の脚力と俊敏を活かし、次……次と、フランツを振るってゴブリンやワーウルフ、コボルトとかを倒していく。

 気力がみなぎっているだけで、僕なりに冷静に討伐出来ているのが凄いと思う。やっぱり、ジェフさんのお陰なんだなあ……って改めて感謝だ。

 もちろん、彼と引き合わせてくれたフランツにもね?
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