最強の剣がフランスパン!?〜最弱冒険者の無双冒険録〜

櫛田こころ

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第十章 ダンジョンマスター

第1話『雪砂糖のラスク』

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 せっかく、揚げたパンを……溶かした雪砂糖スノーシュガーの鍋に入れて、しっかりと絡めていく。パンがくたくたになるかと思えば、そんなことにはならなかった。


【引き上げてみぃ?】


 フランツからの指示通りに、トングで上げてみれば……つやつやキラキラ!? 綺麗に輝いているパンが出来上がったのだ。


「綺麗……」


 ちょっと食べるのがもったいない気がしたけど……
 まずは味見だ。

 ひと通り、バットの上に絡めたパンを入れていき……鍋の中身が溶かした結晶以外無くなったら、ひとつ手に取る。

 ちょっとだけ熱かったけど、軽く息を吹きかけてから口に入れてみる。



 カリ、ポリ!!



 しっかりと揚げた、パンのカリカリは維持されたまま。

 そこに、ちょっと飴のように絡んだ雪砂糖スノーシュガーの溶けたものが……少しだけ乾いて、ポリっと砕けて。

 甘さは特に加えていないのに、結晶の甘味で十分。

 カリポリと言う食感がとても良くて……やめられない止まらない!!

 次、次……と口に入れて行ったら、フランツの思念体でゲンコツをお見舞いされちゃった。大きい衝撃じゃないから、ジェフさんじゃないのはわかっていた。


【夢中になんのはわかるが、兄ちゃん達の分も食おうとすんなや!!】

『……ごめん』


 しかし、このラスクってお菓子……凄いんじゃないだろうか??

 結晶を使わなくても、普通の砂糖をまぶすだけでもいいかもしれない。フランツに聞けば、『そうや』と答えてくれた。


【味付けも砂糖以外色々あるで~? 粉末とか、溶かしたもんの方が相性ええけど】


 とりあえず、ジェフさん達も結晶集めが終わったみたいだから、ラスクのお披露目となりました!!


「お待たせ致しました!!」


 お皿の上に、それぞれ取り分けて差し出せば……当然、ジェフさんとマシュさんはわからないので説明することにした。


「薄くスライスしたパンを揚げて、結晶を溶かしたのに絡めたお菓子です。少し乾いているので、手でも大丈夫ですよ?」

「そんじゃ!」

「いただきますの!!」

『きゅぅうううう!!』


 クダウサギの分も一応用意してあげたので……それぞれ口にして、味見の時と同じような咀嚼音が響くと……マシュさんもだが、ジェフさんもそれはそれは夢中になって、ラスクを食べていった。


「美味しいですのぉお!!」

「うんま!? 食感もだが、揚げたパンも良い!! トラディス、やるじゃねぇか!!」

「い、いえ……」


 作ったのは僕だけど、教えてくれたのはフランツだ。

 ジェフさんには言えても、マシュさんがいるからそれは言えない。とりあえず、わざと照れておくことにした。


『きゅうぅう、きゅぅうううう!!』


 クダウサギも気に入ってくれたのか、ぽりぽり食べながら鳴き声を上げた。雑食なのは知っていたけど……なんでも食べて良いのかな??


「おかわり!」

「ですの!!」


 すぐにおふたりとも完食はしてくださったんですが……。


「あ、あの。もう材料が……」


 油とかパンは、こっそりフランツが補充出来ても、溶かした結晶はもう鍋にほとんどない。

 採取した結晶は、ギルドに持って行く予定だから……これ以上はダメだ。

 それを伝えると……わかりやすいくらいに、おふたりともガッカリしてしまいました。
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