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第七章 不可思議な罠達②
第5話 管理者の傍観①
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愉快や愉快。
馳走を受けたが故に、簡易な問いかけ程度で迷路の罠を緩やかにしたつもりじゃったが。
あの耳長の女子。
機転が利くように見えて、いささか幼く見える。
妾に馳走を渡してくれた、『トラディス』と言う愛らしい男よりも……年月は重ねておるのに、幼いのお?
トラディスも、魔剣に魅入られた宿主ではあるが悪くはないようじゃ。
本人は……己を卑下するきらいがあるようじゃが。
「ったく、しっかりしてくれよ」
女子を叱っていた、聖槍の宿主。
トラディスよりは体格の良い男が、女子を軽く叱っておったのじゃ。簡単のようでひねった問答について、此奴はトラディスと同じ解答をしたからのお??
「……すみませんですの」
女子……たしか、マシュと言ったか?
耳長族の出であれば、普通の美しさじゃが落ち込むと少し幼く見える。年長者の割に、永い時を生きる種族故に心の育ち方が幼いと見えた。
しかし、この者がダンジョンへの挑戦を提案したものと思える。トラディスは魔剣の宿主であれど、日が浅いと見た。
聖槍の宿主……ジェフとやらも似た感じか。マシュには、ゴーレムの核の気配が感じ取れる。
おそらく、魔導具に関連する材料を欲する者かもしれぬ。
とは言え、使い回しにするよりも、手に入れるか破壊してくれた方がいいからのお?
消耗品故に、同じ核を継続して使い続けるととせっかくの守護ゴーレムが動かなくなるからじゃ。ダンジョンの管理者の妾であるわがままじゃが。
「……とりあえず。ジェフさん、マシュさん……この先進みますか??」
ひとり、何か出来ることを……と調査していたトラディスが、ジェフが壊した壁に指を向けた。製造ゴーレムは動かなくなり、壁も修復せずにそのままじゃ。その先には通路がある仕組み。
やはり、トラディスとやらは面白い。
ジェフも勘が良いが此奴も十分負けておらん!!
「だな? お前……冒険者初心者の割には、いい目してやがるじゃねぇか?」
「……ありがとうございます」
せっかく褒められていても、あまり喜んでおらん。
この者らをよくは知らぬが……トラディスの背負う奇妙な魔剣を得るまで、あまり良い生活をしていなかったのであろう。
魔剣から、マシュの肩におる妾への視線が痛いほど感じるのじゃ。
自我を持つ魔剣……なくもないが、ほんに奇妙じゃ。
持ち手はともかく、刃の部分が食材と言う魔剣なぞ……妾は管理者になる前の精霊体でも知らぬぞ!?
どう言う仕組みなんじゃ!!?
しかしながら、此奴らはトラディスが見つけた道を進むこととなり……妾はクダウサギになりきって事の次第を見守ることにした。
まだ腹は満たされておらぬが、いつ何時……トラディスが新しく作る馳走にありつけるかもしれぬのじゃ!!
馳走を受けたが故に、簡易な問いかけ程度で迷路の罠を緩やかにしたつもりじゃったが。
あの耳長の女子。
機転が利くように見えて、いささか幼く見える。
妾に馳走を渡してくれた、『トラディス』と言う愛らしい男よりも……年月は重ねておるのに、幼いのお?
トラディスも、魔剣に魅入られた宿主ではあるが悪くはないようじゃ。
本人は……己を卑下するきらいがあるようじゃが。
「ったく、しっかりしてくれよ」
女子を叱っていた、聖槍の宿主。
トラディスよりは体格の良い男が、女子を軽く叱っておったのじゃ。簡単のようでひねった問答について、此奴はトラディスと同じ解答をしたからのお??
「……すみませんですの」
女子……たしか、マシュと言ったか?
耳長族の出であれば、普通の美しさじゃが落ち込むと少し幼く見える。年長者の割に、永い時を生きる種族故に心の育ち方が幼いと見えた。
しかし、この者がダンジョンへの挑戦を提案したものと思える。トラディスは魔剣の宿主であれど、日が浅いと見た。
聖槍の宿主……ジェフとやらも似た感じか。マシュには、ゴーレムの核の気配が感じ取れる。
おそらく、魔導具に関連する材料を欲する者かもしれぬ。
とは言え、使い回しにするよりも、手に入れるか破壊してくれた方がいいからのお?
消耗品故に、同じ核を継続して使い続けるととせっかくの守護ゴーレムが動かなくなるからじゃ。ダンジョンの管理者の妾であるわがままじゃが。
「……とりあえず。ジェフさん、マシュさん……この先進みますか??」
ひとり、何か出来ることを……と調査していたトラディスが、ジェフが壊した壁に指を向けた。製造ゴーレムは動かなくなり、壁も修復せずにそのままじゃ。その先には通路がある仕組み。
やはり、トラディスとやらは面白い。
ジェフも勘が良いが此奴も十分負けておらん!!
「だな? お前……冒険者初心者の割には、いい目してやがるじゃねぇか?」
「……ありがとうございます」
せっかく褒められていても、あまり喜んでおらん。
この者らをよくは知らぬが……トラディスの背負う奇妙な魔剣を得るまで、あまり良い生活をしていなかったのであろう。
魔剣から、マシュの肩におる妾への視線が痛いほど感じるのじゃ。
自我を持つ魔剣……なくもないが、ほんに奇妙じゃ。
持ち手はともかく、刃の部分が食材と言う魔剣なぞ……妾は管理者になる前の精霊体でも知らぬぞ!?
どう言う仕組みなんじゃ!!?
しかしながら、此奴らはトラディスが見つけた道を進むこととなり……妾はクダウサギになりきって事の次第を見守ることにした。
まだ腹は満たされておらぬが、いつ何時……トラディスが新しく作る馳走にありつけるかもしれぬのじゃ!!
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