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第四章 信頼と出会い

第4話 はじめての飯ごう

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 即日で行くと言うわけではないようで。

 マシュさんが、ある程度の装備を準備してからと言うことで二日後のお昼からダンジョンに潜ることになった。

 元パーティーメンバーにも女の子はいたけど……僕は顎でこき使われたけれど……彼女に比べたら、随分と礼儀正しい女の子だと思う。

 フランツ情報だと、マシュさんはエルフだと若くても僕の親くらいの年齢らしいが……僕に両親はいない。いたと思うけど、会ったことだなんてないんだ。乳飲児の頃、孤児院の前に捨てられたのを親代わりだったシスターが見つけただけだから。

 小さい頃は、両親を探すために冒険者を目指したけど……あのパーティーにいたことでその目標は薄れていった。今は……わかんない。

 フランツと出会って、元パーティーのメンバー達は処罰を受けることになったから……完全にひとりじゃないけど、人間は僕だけ。フランツは特殊ではあっても魔剣だから。

 だから、身近な人と行動するだなんて、まだ夢心地のようで。


(……けど、ギルマスのエクレアさんから正式にお願いされたんだ。頑張らなくちゃ!)


 そのために、僕はフランツを背負って市場などに向かう。僕自身のレベル上げや、野営の場合に必要となってくる食事の材料を買い出しに。

 マシュさんはどれくらい料理が出来るかわからないけど、僕も褒められるような腕前はない。それっぽく、フランツに習うためだ。ちょっと顔見知りになった屋台で材料などを購入してから……ギルドで受けておいた依頼クエストをするのに、街の外に出て行く。


「『氷弾アイス・ボム』!! 『炎の矢フレア・アロー』!」


 初級魔法の復習と効果の確認をするのに、ロックバードやバッファローとかにぶつけては倒していくのを繰り返す。

 もちろん、フランツを扱うのに慣れるのも忘れない。例のレーザーソードは絶対使わないけど!!


【おん。これくらい有れば、肉には困らんやろ?】


 討伐数は依頼クエスト紙にある数を倒し、討伐証拠とかを剥ぎ取ったら肉はフランツが自分でサクッと捌いてくれた。手際が良過ぎて全然お手本にならないくらいに。


「では、先生。お願いします!」

【おん。任しとき!】


 今から、自分の炊き出しもだけどマシュさんにも振る舞えるように……フランツから料理を習うのだ。なにを作るかと言うと、例の魔導具アーティファクトの使用法にもなっていた『おこめ』。

 普通の鍋でも調理可能だとフランツが言ってくれたので、市場にもあったからたくさん購入したんだ。

 まずは、竹ザルにおこめ……と言う麦にも似てるけど、筋もなにもない穀物の粒を洗うとこから指導が始まった。

 これが結構大変だったんだよね!? 単純に白く濁った水を捨てたりするだけでなく、とぐと言う工程にフランツから何回も指摘を受けた……。

 煮る……じゃなくて、たくってところまで行く頃には、思いっきり息切れていた。


「これ……美味しいの……??」

【おん。ワイの元となった異世界でも極東の国の主食なんや。握り飯とか色々あるで? 丼ものも食わせたいわ】

「どんもの??」

【せっかくやから、肉はぎょーさんあるし……肉丼作ろうや?】

「??」


 フランツのパンの顔が、なんとなく緩んでいるように見えたけど……僕には、そのニクドンの美味しさと言うのが想像出来なかったので……蓋をしている鍋を見るしか出来なかった。
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