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第三章 冒険者として再スタート
第1話 ギルドでの講習
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宿の朝ご飯をたっぷり食べてから……僕はフランツを背負って冒険者ギルドに向かった。
今日は依頼ではなく講習。
成り立ての頃に一度受けたけど、まあ数年前のことなので朧げだ。注意事項くらいは覚えているけど。……その注意事項とかを、今は牢屋に入れられた元仲間はやってしまった。
僕は最弱で役立たずだったから……いつも暴力を振るわれていたからね?
とりあえず、ギルドに着くと……まだ二日目だけど、顔を覚えてもらってもいいとフランツに許可がもらえたから、外套のフードを外して中に入った。
「おはようございます!」
気力も少しずつ回復してきたので少し大声で挨拶すると、昨日のようなゴロツキさんとかはいなかったが、冒険者の人はあまり見当たらず……職員の人達が仕事をされていた。
「あら、おはよう。トラディス君」
僕に気づいてくださったのは、昨日換金を担当してくださった受付のお姉さんだった。お姉さんが気付くと、他の職員さんも僕に手を振ってくれた。
「おはようございます。今日は講習を受けに来ました」
「聞いているわ。ギルマスは上の階だから、案内するわね?」
勝手に行っていい場所じゃないから、お姉さんに連れて行ってもらう。通されたら、エクレアさんも挨拶してくださり、今日は香りの良いストレートティーを淹れてくださった。
「さて、講習と言えど君はある意味二回目。私から君にお願いしたいことは数点のみです」
「……それくらいで?」
「昨日君のカードを拝見した時、実は賞罰などを読み取らせていただきました。オールクリアではないですが、捕縛した彼らに比べたらスリ程度。なので、私の判断で注意事項をお伝えするのみです」
「……わかりました」
下手に反論しても、僕なんかじゃ言い含められるだけに終わる。それなら、厚意を無駄にしない方が良い。こっそりフランツにも聞くと、それで良いと答えてくれた。
「まず、第一。無闇な殺生はやめること。これは最重要事項です。君はモンスターの殺生について経験はあるようですが、同種族や部類としては私のような耳長のエルフも人間と同じくくり。理由もなく殺生はやめてください」
「はい」
これはもちろんだ。戦争がかつてあったとも言われているが、犯罪の一番酷いことをしてはいけない。モンスターも、急激な厄災級の増殖がなければ狩り尽くしてはいけないらしいけど。うん、ちょっと思い出してきた。
「次に採取。麻薬、毒草の断絶はしなくてはいいですが……ギルドへの不要な持ち込みはしないように。これも場合によっては処罰の対象です」
「何故でしょう?」
「裏ルートで取引をしようと目論む連中を止めるためです」
「……なるほど」
もしかしたら、元仲間の彼らはそれをしたかも。僕に毒草を抜けとか言ってきたことがあったし。正直にエクレアさんに告げると……エクレアさんは少し渋い顔をしたが。
「抜いて集めさせられただけで、取引に参加はしていませんね?」
「はい。おそらく……ですが」
「では、大丈夫でしょう。君のことは伏せて、処罰の加算は警邏の方に伝えておきます」
多分……死罪じゃ……ないよね??
次に教わったのは、環境保護についてだった。さっきも考えた狩り尽くしちゃいけない部分のことと、エクレアさんの説明は同じだった。
あとは、街中での犯罪についてもしない事だったり。それで終わりだった。
「終わり……ですか?」
「ええ。二回目ですし、トラディス君のように心優しい少年なら不必要な部分は省きます。次は、冒険者カードの内容を更新するための実技試験をさせてください」
「はい!」
レベルがすごく上がっても、僕の今の実力ではどこまで出来るか。
あと、フランツもテレパシーで大はしゃぎしていたよ。
だから、職員の誰かが見てくださるかと思っていたら……。
「私が直々にお相手しましょう」
「えぇ?!」
【あのギルマス、足悪いんちゃう!?】
僕の相手を、わざわざエクレアさんがしてくださることになってしまった!!?
今日は依頼ではなく講習。
成り立ての頃に一度受けたけど、まあ数年前のことなので朧げだ。注意事項くらいは覚えているけど。……その注意事項とかを、今は牢屋に入れられた元仲間はやってしまった。
僕は最弱で役立たずだったから……いつも暴力を振るわれていたからね?
とりあえず、ギルドに着くと……まだ二日目だけど、顔を覚えてもらってもいいとフランツに許可がもらえたから、外套のフードを外して中に入った。
「おはようございます!」
気力も少しずつ回復してきたので少し大声で挨拶すると、昨日のようなゴロツキさんとかはいなかったが、冒険者の人はあまり見当たらず……職員の人達が仕事をされていた。
「あら、おはよう。トラディス君」
僕に気づいてくださったのは、昨日換金を担当してくださった受付のお姉さんだった。お姉さんが気付くと、他の職員さんも僕に手を振ってくれた。
「おはようございます。今日は講習を受けに来ました」
「聞いているわ。ギルマスは上の階だから、案内するわね?」
勝手に行っていい場所じゃないから、お姉さんに連れて行ってもらう。通されたら、エクレアさんも挨拶してくださり、今日は香りの良いストレートティーを淹れてくださった。
「さて、講習と言えど君はある意味二回目。私から君にお願いしたいことは数点のみです」
「……それくらいで?」
「昨日君のカードを拝見した時、実は賞罰などを読み取らせていただきました。オールクリアではないですが、捕縛した彼らに比べたらスリ程度。なので、私の判断で注意事項をお伝えするのみです」
「……わかりました」
下手に反論しても、僕なんかじゃ言い含められるだけに終わる。それなら、厚意を無駄にしない方が良い。こっそりフランツにも聞くと、それで良いと答えてくれた。
「まず、第一。無闇な殺生はやめること。これは最重要事項です。君はモンスターの殺生について経験はあるようですが、同種族や部類としては私のような耳長のエルフも人間と同じくくり。理由もなく殺生はやめてください」
「はい」
これはもちろんだ。戦争がかつてあったとも言われているが、犯罪の一番酷いことをしてはいけない。モンスターも、急激な厄災級の増殖がなければ狩り尽くしてはいけないらしいけど。うん、ちょっと思い出してきた。
「次に採取。麻薬、毒草の断絶はしなくてはいいですが……ギルドへの不要な持ち込みはしないように。これも場合によっては処罰の対象です」
「何故でしょう?」
「裏ルートで取引をしようと目論む連中を止めるためです」
「……なるほど」
もしかしたら、元仲間の彼らはそれをしたかも。僕に毒草を抜けとか言ってきたことがあったし。正直にエクレアさんに告げると……エクレアさんは少し渋い顔をしたが。
「抜いて集めさせられただけで、取引に参加はしていませんね?」
「はい。おそらく……ですが」
「では、大丈夫でしょう。君のことは伏せて、処罰の加算は警邏の方に伝えておきます」
多分……死罪じゃ……ないよね??
次に教わったのは、環境保護についてだった。さっきも考えた狩り尽くしちゃいけない部分のことと、エクレアさんの説明は同じだった。
あとは、街中での犯罪についてもしない事だったり。それで終わりだった。
「終わり……ですか?」
「ええ。二回目ですし、トラディス君のように心優しい少年なら不必要な部分は省きます。次は、冒険者カードの内容を更新するための実技試験をさせてください」
「はい!」
レベルがすごく上がっても、僕の今の実力ではどこまで出来るか。
あと、フランツもテレパシーで大はしゃぎしていたよ。
だから、職員の誰かが見てくださるかと思っていたら……。
「私が直々にお相手しましょう」
「えぇ?!」
【あのギルマス、足悪いんちゃう!?】
僕の相手を、わざわざエクレアさんがしてくださることになってしまった!!?
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