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第602話 独自を伝えていく
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とりあえず、チョコカスタードの包餡の作業は僕とラティストが請け負うことになった。
「……この方法は、異世界独自の調理法だと思う」
リトくんには聞こえにくい音量で、ラティストがポツリと呟いた。
「そうなの?」
「精霊の里でも、パンの中に具材を入れるなどはなかった」
「今更だけど、精霊さんも料理作るんだね?」
「人間の技術を真似た道楽みたいな感じだがな。だが、パンはケントのものが一番美味い」
「ありがとう。誠心誠意込めて作っているからかな?」
「ああ。気持ちはよく伝わってくる。ポーションの効能もだが、俺が初めて食べたパンにそれがよく染み渡っていた」
「へー?」
それで、僕と契約してくれたのかなって聞けば、それも理由のひとつだと教えてくれたんだ。
「ルカリアへの想いとは違うが、俺は『ケント』だから契約したいと思った。それは忘れないで欲しい」
「わかった」
それも嬉しいけど……包餡しながら、会話出来るようになったラティストの成長も嬉しいなあと思っちゃう。
出来上がったら、今度はリトくんとスインが参加しやすい作業に移ることにした。
「切っちゃうんですか?」
スケッパーを用意したので、リトくんが不思議がっていたから違うことを教えてあげるとも。
「全部を切るんじゃないよ? リトくんにヒント。普通のカスタードクリームパンに、ちょっと切った部分ない?」
「あ! クリームが見える!!」
「今回はそれの練習も兼ねてやってみよう」
「はーい!」
『わかったー!』
切り過ぎはいけないけど、慣れたら楽しい作業だからね?
こうして覚えてもらう上で、作業を苦痛と思わないようにするのも大事なことなんだ。
「包んだ生地を少し平たく叩いて……スケッパーを使って、だいたい三か四カ所に軽く切り込みを入れて……押し過ぎないように、切っていく」
そうすると、グローブのような形になっていく。これが可愛くて好きって、女性客はエリーやシェリー以外にも結構多い。
たしか、クリームパンって……日本生まれだったかな? あんぱんやカレーパンはそうだけど、包餡技術入れたパンって現代じゃ普通だったからなあ。
ともかく、二人には頑張って切ってもらおう!
失敗してもいいからと、ラティストはスインに。僕はリトくんの横に立って見守りながらの作業となったよ。
「ししょー、ちょっとだけ切るんですよね?」
「そう。大きく切ると、クリームが飛び出て大変なことになるから」
「……ちょっと!」
かつんと切ってみたけど……慎重になり過ぎて、生地の先端を切るだけになってしまった。
なので、手本を見せながら繰り返していけば。
リトくんはすぐに、迷いなく切り込みを入れてクリームパンの形にしていったんだ。
やっぱり、この子はイケメン神様が認めたポーションパン製造の後継者なんだね!
「……この方法は、異世界独自の調理法だと思う」
リトくんには聞こえにくい音量で、ラティストがポツリと呟いた。
「そうなの?」
「精霊の里でも、パンの中に具材を入れるなどはなかった」
「今更だけど、精霊さんも料理作るんだね?」
「人間の技術を真似た道楽みたいな感じだがな。だが、パンはケントのものが一番美味い」
「ありがとう。誠心誠意込めて作っているからかな?」
「ああ。気持ちはよく伝わってくる。ポーションの効能もだが、俺が初めて食べたパンにそれがよく染み渡っていた」
「へー?」
それで、僕と契約してくれたのかなって聞けば、それも理由のひとつだと教えてくれたんだ。
「ルカリアへの想いとは違うが、俺は『ケント』だから契約したいと思った。それは忘れないで欲しい」
「わかった」
それも嬉しいけど……包餡しながら、会話出来るようになったラティストの成長も嬉しいなあと思っちゃう。
出来上がったら、今度はリトくんとスインが参加しやすい作業に移ることにした。
「切っちゃうんですか?」
スケッパーを用意したので、リトくんが不思議がっていたから違うことを教えてあげるとも。
「全部を切るんじゃないよ? リトくんにヒント。普通のカスタードクリームパンに、ちょっと切った部分ない?」
「あ! クリームが見える!!」
「今回はそれの練習も兼ねてやってみよう」
「はーい!」
『わかったー!』
切り過ぎはいけないけど、慣れたら楽しい作業だからね?
こうして覚えてもらう上で、作業を苦痛と思わないようにするのも大事なことなんだ。
「包んだ生地を少し平たく叩いて……スケッパーを使って、だいたい三か四カ所に軽く切り込みを入れて……押し過ぎないように、切っていく」
そうすると、グローブのような形になっていく。これが可愛くて好きって、女性客はエリーやシェリー以外にも結構多い。
たしか、クリームパンって……日本生まれだったかな? あんぱんやカレーパンはそうだけど、包餡技術入れたパンって現代じゃ普通だったからなあ。
ともかく、二人には頑張って切ってもらおう!
失敗してもいいからと、ラティストはスインに。僕はリトくんの横に立って見守りながらの作業となったよ。
「ししょー、ちょっとだけ切るんですよね?」
「そう。大きく切ると、クリームが飛び出て大変なことになるから」
「……ちょっと!」
かつんと切ってみたけど……慎重になり過ぎて、生地の先端を切るだけになってしまった。
なので、手本を見せながら繰り返していけば。
リトくんはすぐに、迷いなく切り込みを入れてクリームパンの形にしていったんだ。
やっぱり、この子はイケメン神様が認めたポーションパン製造の後継者なんだね!
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