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第590話 護衛するのに
しおりを挟む「と言うことで、参った次第です」
「ど、どうも……」
エディからの魔法蝶で知らせはあったけど……本当に、リリアちゃんがスバルの護衛についてくれることになったのだった。
正確には、表側じゃなくて裏側。
隠密とかに近いらしい。なので、エディは彼女に僕らの秘密を打ち明けたんだとか。いずれはエディのお嫁さんになるんだし、それは予定はしてたけど。
今回は迅速に対応しなきゃだったから、仕方がないよね? むしろ、気兼ねなく話せるから嬉しい。
「まあ、ありがたいですわ。リリアがいれば百人力ですもの」
「僕はまだ見たことないけど、そんなにも強いの?」
「幼少期の時は、大岩を片手で持ち上げていましたわ。その流れで、陛下を抱き上げたこともございますの」
「……ルカリア、それは恥ずかしいです」
「事実ではございませんか」
「要するに、僕なんかよりもずっと強いんだね……」
なら、任せてもいいのかな?
「あっしらのために、ありがとうごぜぇやすー」
カウルはちゃんと会ってなかったからか、リリアちゃんにきちんと挨拶していた。
エンシェントスライム……しゃべるスライムの存在にびっくりしてたけど、リリアちゃんはしゃがんでからきちんと頷いてくれた。
「しっかり警護させていただきます。ケント様の相棒だけでなく、ひとつの存在として」
「やんすー」
「……抱っこしてもいいですか?」
「いいでやんすよー」
エンシェントスライムって理由もあるだろうけど、ツヤツヤプルプルで可愛いカウルを抱っこしたい人は多いからね。特に女の子は。
店だとルカリアちゃんが多いけど、エリーやシェリーも抱っこすることは多いんだ。
抱っこしたら、年相応の女の子のように笑顔になってカウルに頬ずりしました。
「陛下やルカリアさんに認められるほどの腕前……あたし、一度手合わせしたいんだけど」
エリーも事情説明のために来てたから、リリアちゃんに申し込みをした。びっくりしたけど、エリーは冒険者だもんね?
リリアちゃんも、エリーを見て頷いていた。
「いいですよ。真紅の鷹の技量も拝見したいです」
「……その呼び名は恥ずかしいわ」
「陛下もお認められています。是非」
「場所は演習場に行きましょう? ここの表側じゃ目立つし」
「ですね」
と言うことで、ちゃちゃっと手合わせしてくるからと二人はスバルを出て行き。
僕らが生地の仕込みをしていたら、リトくんがお休みの日なのにダッシュしたのか興奮した勢いで裏口から入ってきたんだ。
「ししょー! エリーお姉さんと可愛いお姉さんが戦っているのがカッコいい!!」
どうやら、リトくんはお父さんと冒険者ギルドに行ってたらしく……演習場で女の子同士の手合わせが白熱していたとかで、ちょっと見たらしい。
で、かっこいいアクションシーンに見えたから僕に教えに来たんだって。
「エリーちゃんと、エディの婚約者さんだね」
「エディお兄さんの?」
「うん。強いらしいよ」
「うん! すごかった!!」
「あとで、そのお姉さん来るけど……すぐ帰る?」
「今日はパン買いに来ました!」
「こら! リト!!」
パーシーさんが後ろから来て、リトくんの後ろに立つと挨拶してくれた。
「こんにちは」
「どうも。エリーさん、すごい女の子と手合わせしてたので」
「詳しく聞いてないですけど。エリー相手になんの武器で闘ってたんですか?」
「二刀のレイピアですね」
「……似合いそう」
お貴族さんだし、立派な武器を扱うんだー。
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