スライムからパンを作ろう！〜そのパンは全てポーションだけど、絶品！！〜

第586話 新素材でのポーションあんぱん

「あっしの表面も使えますぜ？」

「えぇえ！？」


　協力してくれるのは嬉しくないわけじゃないけど、もっと自分大事にして！？


「せやけど、ラティストもやが……カウルも進化された特別なスライムや。核壊さん限り、表面のゼリー部分は欠けてもすぐ再生されるで。問題はない」

「痛くないんですか！？」

「人間やとかゆい程度のはずや。すぐ戻るて」

「カウル、ほんと？」

「大丈夫でやんすよ！」

「……俺のは髪の毛にするか？」

「せめてそうして」


　と言うことで、カウルのゼリー部分とラティストの髪の毛数本。

　それぞれをマーベラスさんの協力もあって、粉末状にしてから鑑定すれば。


【『エンシェントスライムの体液を粉末に』

　・腐敗などに関連する酸の効果はなく、『守護』スキルの力が宿った特殊な粉末

　・変換スキル有り

　・水魔法付与の効果有り

　】

【『創始の大精霊の一部を粉末状に』


　・火と闇の魔素付与の効果有り

　・最高基質の『守護』スキルの力が宿った特殊な粉末

　・相性次第で、対象の望む箇所を封印可能


　】


　結果は、今僕らが欲しいものとなったんだ！！


「マジか！？」

「……これなら」


　スインの一部を封印出来るかもしれない！

　相性次第って書いてはあったけど、やれるだけやってみよう。

　次は、こういった素材をポーションじゃなく食材に混ぜる方法を考えなくちゃいけない。

　食紅とかの要領でいいのかな？　色も青と黒だけど。


「扱いは普通の粉と同じでええと思うで？　量の調整はせなあかんけど」

「うーん。じゃあ、食べやすいようにあんこを包んで入れてみましょう」

「アンコ？」

「小豆を甘く煮たものです。前世で僕とお師匠さんがいた国では一般的でした」

「ほーん？　豆をなあ？」


　ポーションパンを作るけど、美味しいパンをスインにも食べてもらいたいからね！

　まずは、粉に色付けするぐらいの少量で生地の配合を決めた。

　それぞれ、薄いブルーやグレーになったけど……これでうまく出来るかはまだわからない。

　スインにはルカリアちゃんに抱っこされながら見学してもらい、他の全員で生地と包餡を頑張った。リトくんは今日はお休み。

　スバルも午後休みだから……時間はまだある。

　マーベラスさんも、普段は鍛治師だけど自炊はまあまあするそうなので手際がいい。見た目によらないとはよく言うが、マーベラスさんはちょっと意外だったんだよね？

　全部包み終わって、ドウコンでの発酵も終わったら……カウルのオーブンですぐに焼いた。出てきたあんぱんは、表面以外はそれぞれの色がほんのりと残っている程度。


　そして、効能は……素材の鑑定結果とほぼ同じだった。