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第585話 鍛治師頼み込み

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「ど、どうしたんですか!? マーベラスさん!」


 僕が立つようにお願いしても、マーベラスさんは全然そうしてくれなかった。


「あかん! これは俺のせいや!! なんでもつこてくれへん!? スインを何とかしようとしとるんやろ!?」

「え? 僕らさっき決めたばっかりですけど」

「付き合い短こうても、なんとなくわかるわ。転生者だろうが関係なく、ケントっちゅー人間性は」

「……ありがとうございます」


 製作者のマーベラスさんが手伝ってくれるんなら、これは心強い。お師匠さんたちの連絡はまだだったが、先にマーベラスさんはスインを改めて分析するのに……本人のスキルである真贋の瞳を使用して、スインの魂を凝視し出した。

 しばらく見つめ合っていたが、マーベラスさんは大きくため息を吐いた。


「『魔素付与』はたしかに組み込まれとる。俺が製作した時はこんなもんなかった。っちゅーことは、ケントの収納魔法言うんに入れとったから、変化したのは間違いないわ」

「神様にもらったものですけど……普通の亜空間収納の豪華版だと思ってたんですよね」

「神から与えられとったんなら、別もんや! 自分で会得したわけやないやん!!」

「……それで、保管してただけで影響が?」

「おそらく」


 イケメン神様はわからないって言ってたけど……マーベラスさんがここまで分析してるなら、今頃あーだこーだしてるのかな? 多分だけど。


「取り除くのは難しいんですよね?」

「固着しすぎとる。封印が一番やろ。……それをヴィーで出来んかったってことは、ポーションの素材が弱かったちゅーことや」

「素材?」

「ワレぇは、カウルやラティストがおるから普通やろうけど。普通のポーションは素材命や。魔導具かてそれは同じ。一時的に効果出とっても、永続しんかったわけちゃう?」

「なるほど」


 となれば、ここは普通のポーションのように必要な素材でポーションパンを作ればいいってことかな?


「素材……俺の血を使うか?」


 考えていたら、ラティストが怖いこと言い出したんだけど!?


「待った待った!? 怖い怖い!? 何言っているの!!」

「……精霊の血は素材だが?」

「そうだとしても、物騒なこと言わないで!?」


 僕の契約精霊だけど、傷つけるのは嫌だよ!?


「そうは言うても、人外の身体の一部は薬剤の素材になるで?」

「えぇえ!?」


 マーベラスさんはきっぱり言うけど……そんなゲームのようなシステムが、こっちじゃリアルにあるんだとびっくりしてしまうしかない。
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