スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第554話 お茶会にて②

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「ほう? 表面にわざわざ別の生地が。甘いが香ばしい匂いもする……ケントくん、このパンはどう言ったものかな?」

「メープルシロップ入りのメロンパンというものです。メロンパン自体は、クッキー生地を使ってメロンに似せた菓子パンのことを言います。今回はパン生地の中に、メープルシロップをタブレットにしたもの染み込ませているので普通とも違いますよ」

「メープルシロップをそのような方法で使うとは。ポーションとしての効能は?」

「魔力大回復、怪我回復に精神疲労の中回復ですね」

「素晴らしい効能だわ。それを気にせずとも食べていいだなんて」

「シリカゲルやフィルムに入れてても、食べ物は食べ物ですから」


 美味しく食べてもらえるなら、製造者としては嬉しいからね。ただ、メロンパン特有の食べにくさもお伝えするよ。

 いち早くかぶりついていたエディはもう手遅れで、口元や手の中がクッキー生地だらけになっちゃったけど!?


「美味いけど食べにくいな?」

「どうしてこの組み合わせかは、前世の世界で最初に作った人に出会ってないからね。まだ完全再現は出来てないけど、人によってはそれが醍醐味だと言う人もいるんだ」

「へー? 面白」

「うん。たしかに表面はサクサクしたクッキーで内側には空洞はあるが、そこがしっとりしていてパン生地とうまく組み合わさっている。食べにくさは少し気になるが、美味しいよ」

「ええ。私もこの組み合わせは好きね!」

「試食もした身ですが、店長のパンはすべて美味しゅうございますもの」

「そうだな」

「美味いでやんすー!」


 喜んでいる笑顔を見ることが出来る。僕のパン作りの中で、一番見たい光景だ。今日もここで見ることが出来て非常に満足です。

 僕もひと口食べたけど、皆で食べるからすごく美味しく感じた。ちょっと疲れてたから、ポーション効果が現れて一瞬光ったけど。


「そう言えばケントくん。君にはもうパートナーがいるのかな?」

「ふぉ!」


 クラウンさんの発言に危うくむせそうになったけど、相変わらず直球スタイルの質問してくるなあこの人!?


「親父……まだ養子縁組諦めてねぇのかよ」

「だって、縁戚になればケントくんの身の安全にも繋がるだろう? ラティスト殿が側に居ても」

「残念だが、ケントには既に『真紅の鷹』と恋仲同士だ。諦めろ」

「あらあら、バートレイン家のご令嬢と? どんな出会いだったのかしら? おばさん是非聞きたいわ」

「い、いや……その」


 なんでここで、エリーとの馴れ初めを大っぴらにしなくちゃいけないわけ!? そんな楽しいことじゃないと思うんだけど、エディも含めて王族メンバーの目のキラキラ感が凄いよ!!


「ざっとは聞いたが、俺も詳しいことはまだだったな?」

「エディ!? 大雑把に知っているならいいでしょ!」

「若いながらも腕利きの女性冒険者と錬金術師の君たちの馴れ初めは、とても興味深い。是非おじさんにも教えて欲しいね」

「クラウンさんまで……」


 なので、仕方なくエリーとの馴れ初めをポツポツと話すことにした。転生した直後のことだから、それも付け加えて話すと……王族メンバーの顔はどんどん輝いていくから眩しいよ!!
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