スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第551話 神のお忍びは

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 確実に近づきつつある。

 その時が。

 そのタイミングが。

 我の手を貸す必要もほとんどあるまいて。

 ポーションパンはポーションの需要として確実に広まりつつある。


「これならいよいよ」


 我が人間に扮し、ケントの店に行ってもいいではないか?

 いつもいつもシロトばかりで、我はなかなか行けない。神だから、下界に降りるのはいかんといつもいつも言われているのだ。

 頑張って頑張ってケントのフォローをしているんだぞ? ちょっとくらい行ってもいいではないか!? ケントへの加護も安定させているんだぞ!!

 今日くらい。


『なりません』

「なぜだ!?」


 シロトが当然のように現れて、我を足蹴にするのがいただけん。なぜ考えを当然のように読むのだ!? 御使に心読みの技能スキルは与えたはずではないが、なぜわかるのだ!!


『貴方様があちらに行かれたら……ラティストとジェイドになぶり殺しにされますよ?』

「おっふ!」


 それは忘れていた!?

 ラティストにはただでさえ、飽きられまくっているのに。そこにジェイドが加われば面倒極まりない!

 ラティストは当然のように我をゴミのような扱いをするが、ジェイドは笑みの仮面でじわりじわりと迫ってくるのがめちゃくちゃ面倒なのだ!!

 あれに抗えるか? いいや、不可能だ!!

 すぐに屈服する可能性が目に見えている!!


『であれば、無闇に出向かないことです。買い物は私が代わりに出向きます』

「そう言って、また勝手にリクエストする気だろう!?」

『否定しませんが、貴方様のも伺いますよ?』

「本当か!?」


 その申し出に倒れていた我は身体を起こし、すぐにシロトの足元に近づいた。シロトは尊大な態度は取っているが、口にした言葉は本物のようだ。

 我は縋り付く勢いで頼み込み、シロトはすぐに転移の魔法を使ってスバルへと向かった。

 我のリクエストは、今のポーションパンの棚を見てから決めることになったが。


(何にしようか)


 カレーパン?

 ピザパン?

 他にも色々あるだろう。

 だが、シロトのようにリクエストもしてみたい。

 ああ……ポーションパンが食べたい。その欲望に心が占められてしまう。

 シロトが飛ぶと、水鏡越しに見えたスバルだったが今日も活気付いている。

 元はレイスの滞在場所だったあそこをここまで改善してくれたのだから、感謝してもしきれん。

 事故死は故意ではなかったが、こちらに転生させてよかったと思う。ケントがいなければ、この世界のポーションの流通もだがパンの需要も変わらなかったからな。

 その保存方法の改善もされなかっただろう。


『神よ。今のラインナップはこちらですが』


 念話でシロトが棚の上にあるものを伝えてくれたが……また一段と変わったものばかりで、どれも美味そうだった!!
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