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第534話 惚れた相手が②
しおりを挟む「……ところで、そちらのエディさんは『陛下』でいらっしゃいませんか?」
とかなんとかしてたら、リリアちゃんがエディの正体をあっさり見破ってた!?
「え? わかるの?」
「ええ。外見は魔法などで変えていらっしゃいますが、私にはわかります。内面は昔手合わせさせていただいた殿下……陛下とお変わりない方だと」
はっきり言い切ったので、これは凄い洞察力だ。エディの変装はほぼ完璧なのに、それを若い女の子が見破っちゃうんだもん。ちょっと物騒なワードが出たけど、エディも観念したのか『エリシオン』の本来の姿に戻った。
「……マジで久しぶりだな、リリア」
エディが苦笑いしながら言うと、リリアちゃんは姿勢を正してお嬢様らしい作法で挨拶した。
「ご無沙汰しております、陛下。ご立派になられて」
「留学は終わったのか?」
「はい。その代わり、縁談が山のように来ますがすべて蹴っております」
「まあ、リリア。お受けなさらないの?」
「……受けません」
ふるふると首を左右に振るから、誰か好きな相手がいるのかな? もしそれがエディだったら、ちょっと展開的に面白いんだけど!
「フォンベルト家は伯爵の中でも由緒正しい家柄だ。今のリリアを見れば、婚姻に持ち込もうとする連中は多いだろうな」
「ですが、受けません。弱い男のところへ嫁ぐなど」
「リリアの腕前では、大抵の殿方は弱いですわよ?」
「そうですが。私は強い方と毎日手合わせしたいのですわ」
ふんわり砂糖菓子のような外見だけど……無茶苦茶勇ましい性格だなあ。エディは一回惚れてたようだけど、諦めたかな?
ちらっと見ると……エディは苦笑いしつつも目尻が緩んでた。なんか悟った??
『エディ、エディ? なんか悟った?』
僕が少し場所を隅に移すと、エディは顔を真っ赤にしながら頷いた。
『……ああ。中身は昔のまんまだけどよ? やっぱ惚れたわ』
『おお!』
と言うことは、幼馴染み同士の恋愛ルートがスタートしようとしているんだね!?
これは全力で応援しようと僕は決めました!!
「陛下! 昔のように、私と手合わせしてくださいまし!」
ちょっと戻ると、何故かリリアちゃんがエディに稽古の申し込みをしてきた!?
「は? 俺と??」
「修羅のエディと謳われるほどの腕前をお持ちですもの。是非、ご教授していただきたく!」
「ルカとやれよ!?」
「ルカリアは勤務中ですもの。なりませんわ」
会話は普通に聞こえるけど、なにか引っかかるなあと思って今度はルカリアちゃんを隅に呼んでみた。
『リリアちゃん……エディが好きなの?』
『その通りですわ。昔からひと筋ですの』
『わぉ。エディもいまさっき惚れ込んだんだよ』
『ふふ。あの見た目ですものね? 加えて昔と変わりないのに安心されたのでしょう。これはもう、婚約まで結びつけなくては!』
『そうだね!』
好きな人同士で結婚するのが、やっぱり一番だもん!
僕はまだヘタレ過ぎてエリーにちゃんとプロポーズ出来てないけど!!
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