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第527話 ギルマスのオコ

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「…………あらぁ?」


 ロイズから魔法蝶が到着したから、デートのお誘いかと思ったのに。

 全然真逆の、とんでもない内容が送られてきたわ~?


「ケントちゃんだけじゃなく、弟子のリト坊やを拐おうとしただなんて~」


 ルカリアのお嬢さんを襲い、リト坊やを拐おうとしたけど。ルカリアお嬢さんは油断してたが、持ち前の腕っぷしの良さで誘拐を阻害。

 ロイズがたまたま近くにいたから捕縛とかもすぐに出来たらしいけど……ほんと、なーんてお馬鹿なことを仕出かす子どもがいるのかしらん?


「尋問はロイズがしているでしょうけど~? あたしも頑張らなくっちゃ! 精霊師としてちょっとは動かないとー」


 呪文を唱え、契約している精霊の一体を召喚し……出てきた男性体の彼に、あたしはお願いをするの~。


「……我が友であるケントに被害を成そうとする者がいる。大精霊殿への危害を成す者としていい。探し当てられるか?」

『御意』


 渋くてかっこいいおじ様外見だけど~、あたしはあたしでロイズの方が好みなのよねー? もうすぐ結婚するし、寿命に関してはハイエルフのあたしと交われば問題無しー。異種族婚の特典としては珍しくないのよね? うふふ。

 とりあえず、精霊が出動していってからあたしはエリーちゃんを招集させたんだーけーどー。


「リトくんを誘拐しようとして、ルカリアさんに怪我させた?! ギルマス! 調査終わったら、対処への出撃にあたしを使ってください!!」

「まあまあ、エリーちゃん。あたしもオコだけど落ち着いてー?」

「……すみません」


 本当、恋する乙女になってもベテラン冒険者としてもきちんと役目を全うしようとするから、かーわーいーいー!

 でも、あたしもギルマスだから本分を忘れてちゃいけないわ。


「とりあえず、ラティストちゃんとかにも伝わってると思うし……報復は適度にしましょうか? お馬鹿ちゃんな貴族とかなら壊滅していいくらいいいでしょう~?」

「ギルマス!? あたし以上に怖い怖い!!」

「うふふ~?」


 だってだって、この街だけじゃなくポーションの流通を促してくれた恩人ちゃんなのよ? 意欲的でなかったヴィーを人間らしくしてくれたこともあるから……あの子の日常を脅かすもの、多少のことは目を瞑るけど今回はだーめ!

 立派にアウトだもの?

 そして、精霊が戻ってきて報告をエリーちゃんと聞いたんだけど……本当にお馬鹿な貴族と馬鹿商人が関わってたらしいわん?

 エリーちゃん単独でもいいけど、人数が多いから『シリウスの風』も招集させてから、座標を伝たうえで向かわせたわ~。

 あたしは、精霊を使役して援護するだけよん?
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