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第515話 大精霊の大幅変化
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許しがたいことだ。
(……ケントを処すつもりでいる輩が、まだいたとは)
邪念を感じたのでそちらに向かえば、見るからに愚かな考えを抱いている男がケントを睨みつけていた。
ケント自身か、ケントがエリュシオンと必要以上に親交しているのが気に食わないか。……おそらくどちらもあるのだろう。
だから、思考を覗き見、ケントへ害を成せぬように記憶ごと消した。術を行使すれば、すぐに放心状態になったので成功したのだろう。
他にはいないか探ったが、俺を見ていた者らが震え上がっていた。俺が創始の大精霊の一角であるのは、城では周知されているからな。おそらく、今の処置を見て慄いたのだろう。
「……君がいてくれて助かった」
そろそろ俺もケントらの方に行こうとしていたら、ヴィンクスが苦笑いしながら俺の前に来た。こいつも、さっきの処置を見ていたのだろう。
「……主に害を成す事はさせない」
「そうだな。邪念を持つ輩は、以前に陛下が選別しても全てを一掃出来るわけではない。ケントを妬む輩はこれからも出てくるだろう」
「……他のパン屋の時のようにはいかんか」
「ああ。人間はとにかく、感情のコントロールがうまく取りにくい存在だ。執着などは、特にいきなり沸き出る可能性が高い」
「……そうか」
人間とは違っても、精霊とて同じだ。個や魂の在り方は同じと言っていい。構成と寿命が違う以外は……生きている存在というところは同じなのだから。
それだから、まだ放心している阿呆な男はケントを妬んで愚かな考えを抱いたのだろう。
「ああ、それともう一つ……君の怒りに触れてしまう事態が起こるかもしれん」
「何?」
ヴィンクスがそんな発言をするということは、この場に関係すると言うことか? 今の発言から察するにケントだけのように思えないが。
「……ルカリア嬢のことだ。伯爵令嬢の地位を捨てて、君の側にいることを選んだという噂を嗅ぎつけ……攫おうと画策している愚かな連中が出てきた。待機している時に、聞こえた程度だが」
「…………愚かな」
ルカリアを攫う?
そんなことは絶対させない。彼女は精霊の画策で死にかけた思いをしても、尚俺を想ってくれたんだ。そして、つい先日に人間をやめる覚悟を伝えてくれた。その覚悟を受け入れて、俺の力を注ぐことで精霊化させる手順まで進んでいるのを……止めようとする愚か者には、先ほどのように処す必要があるだろう。
探索を展開して、ヴィンクスの言っていた輩を探せば……思った以上の人間が引っかかったので、すぐに先ほどと同じ手順で記憶ごと消し去った。消したと同時に倒れていくが、そこは知らん。
「……君は、大精霊なのに人間らしい感情が増えたな」
「…………ケントらのお陰だ」
食の楽しさも、働く楽しさも。
ルカリアと言う最愛の存在を手に入れれたのも。
レイスから救ってくれ、永久契約をした時から……それまでの『ラティスト=ルーア=ガージェン』は生まれ変わったのだから。
以前の俺だったら、即刻殺していたが……ケントと出会った事で考え方が変わったのだから、死なないよりマシだろう?
(……ケントを処すつもりでいる輩が、まだいたとは)
邪念を感じたのでそちらに向かえば、見るからに愚かな考えを抱いている男がケントを睨みつけていた。
ケント自身か、ケントがエリュシオンと必要以上に親交しているのが気に食わないか。……おそらくどちらもあるのだろう。
だから、思考を覗き見、ケントへ害を成せぬように記憶ごと消した。術を行使すれば、すぐに放心状態になったので成功したのだろう。
他にはいないか探ったが、俺を見ていた者らが震え上がっていた。俺が創始の大精霊の一角であるのは、城では周知されているからな。おそらく、今の処置を見て慄いたのだろう。
「……君がいてくれて助かった」
そろそろ俺もケントらの方に行こうとしていたら、ヴィンクスが苦笑いしながら俺の前に来た。こいつも、さっきの処置を見ていたのだろう。
「……主に害を成す事はさせない」
「そうだな。邪念を持つ輩は、以前に陛下が選別しても全てを一掃出来るわけではない。ケントを妬む輩はこれからも出てくるだろう」
「……他のパン屋の時のようにはいかんか」
「ああ。人間はとにかく、感情のコントロールがうまく取りにくい存在だ。執着などは、特にいきなり沸き出る可能性が高い」
「……そうか」
人間とは違っても、精霊とて同じだ。個や魂の在り方は同じと言っていい。構成と寿命が違う以外は……生きている存在というところは同じなのだから。
それだから、まだ放心している阿呆な男はケントを妬んで愚かな考えを抱いたのだろう。
「ああ、それともう一つ……君の怒りに触れてしまう事態が起こるかもしれん」
「何?」
ヴィンクスがそんな発言をするということは、この場に関係すると言うことか? 今の発言から察するにケントだけのように思えないが。
「……ルカリア嬢のことだ。伯爵令嬢の地位を捨てて、君の側にいることを選んだという噂を嗅ぎつけ……攫おうと画策している愚かな連中が出てきた。待機している時に、聞こえた程度だが」
「…………愚かな」
ルカリアを攫う?
そんなことは絶対させない。彼女は精霊の画策で死にかけた思いをしても、尚俺を想ってくれたんだ。そして、つい先日に人間をやめる覚悟を伝えてくれた。その覚悟を受け入れて、俺の力を注ぐことで精霊化させる手順まで進んでいるのを……止めようとする愚か者には、先ほどのように処す必要があるだろう。
探索を展開して、ヴィンクスの言っていた輩を探せば……思った以上の人間が引っかかったので、すぐに先ほどと同じ手順で記憶ごと消し去った。消したと同時に倒れていくが、そこは知らん。
「……君は、大精霊なのに人間らしい感情が増えたな」
「…………ケントらのお陰だ」
食の楽しさも、働く楽しさも。
ルカリアと言う最愛の存在を手に入れれたのも。
レイスから救ってくれ、永久契約をした時から……それまでの『ラティスト=ルーア=ガージェン』は生まれ変わったのだから。
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