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第503話 従業員らの休息
しおりを挟む「平和でやんすねぇー」
「……のどかだ」
「そうですわね……」
店長が生産ギルドへ行かれてからは、わたくし達はスバルでのんびりとお茶を飲んで過ごしていましたわ。
リトくんは本日学舎の授業があるのでお休み。わたくし達もお昼前の営業が終わり、店長が戻ってくるまでは午後の支度が終わってからのんびりしているのです。ポーションパンを製造は出来ませんが、お手伝い出来るところはお願いと仰せつかっておりますの。
店長……ケント様は本当に人格者ですわ。わたくしが貴族の令嬢ではあっても、常に『女』と言うことは変わりないので必要以上に気遣っていただいています。わたくしに武芸の心得があれど、女性には変わりないからと……おもてになられるのがよくわかりますわ。わたくしのラティスト様とは違った意味で、ケント様は女からの人気が高いのに気づいていらっしゃいません。
けれど、ケント様の唯一無二はエリーさん(そのように呼んでとおっしゃられたので)ですもの。どなたにも漬け込む隙はありませんわ。
「兄さん、うまくいっているといいでやんすけど」
色恋はともかくとして、スライムのカウルさんは……本当にスライムを除くと人間とあまり変わりがありませんわ。人当たりの良い、男性と変わりないですもの。親しみやすい性格でいらっしゃいますが、少し話し方が独特。ですが、慣れてしまえばそれも気になりません。今は大事な仕事仲間ですもの。
「そうだな。……神や精霊の手を借りずに人間だけの手法で可能にしようと思うのは、ケントらしい」
そして、わたくしのラティスト様は今日も素晴らしくお美しいですわ!! ケント様とは主従契約を結んでいらっしゃいますが、こ、婚姻に関してはわたくしが独占して良いと仰ってくださいますもの!! 今でもお顔を拝見しているだけで天にも昇りそうな気持ちですわ!!
「兄さんー」
お茶を飲みながら談笑していますと、ラティスト様の弟君でいらっしゃるジェイド様が来られましたわ。ジェイド様はエヴァンス氏の契約精霊様ですの。創始の大精霊をそれぞれ契約させてしまうだなんて、本当に凄いことですわ。
「なんだ、ジェイド」
「まだケント達帰ってきてないんでしょ? 向こうも暇だから遊びに来たー」
「帰れ」
「弟に対してひどくない?」
「こっちは午後も仕事はある。遊んでいる暇はない」
「ケントがいなきゃ再開出来ないじゃん」
「今は休息中だ」
「ぶーぶー」
本当に……ご兄弟ですわよね?
お顔立ちもですけど……性格が正反対過ぎて、いまだに信じられませんわ。
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