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第499話 すぐには出来ない

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 うまくいくかはわからない。

 けど……せっかく得たチャンスを無駄にしたくもなかった。

 生産ギルドのギルドマスターに呼ばれ、古馴染みのエッジと共に『フィルム』と言う新素材を製造して欲しい依頼を頼まれた。

 提案者は、リオーネが誇る錬金術師のヴィンクス=エヴァンス氏に加え、弟子でもポーションパンという革命的なポーションを作れる若手の青年……家名はないが、ケントくんと言うらしい。その二人の提案から、その『フィルム』を依頼されたのだ……ランクBの鍛治師でしかない僕らに。

 お門違いかと思いかけたが、ギルドマスターにどつかれたので嘘ではないようだ。しかし、ヴィンクス氏からの説明を受けるごとに……未知もだが、どうしてそんな知識があるのに生み出せないのか不思議に思った。それだけ知識があれば作れるのではないかと……しかし、問いかけても無理だと返された。ますます意味がわからないが。

 だけど。

 僕もだが、エッジも次第にやる気が込み上がってきて……いきなり出来るとは思っていないが、構想は組み立てることが出来たのだ。すぐに試作したくなり、工房を借りて……二人でまず亜空間収納から出した材料を並べていった。


「……硝子粉をまず、石英水と混ぜて」

「こねあげたら、薄く伸ばしてみるっす」

「僕はスライムの核をベースにした粉でもやってみるよ」

「うっす」


 Bでもそれなりに仕事の依頼は受けているから、マーベラス様ほどじゃなくても……経験は多いと思う。知識は遠く及ばないが。

 だから、出来ることはしよう。

 竈門に火をくべて焼き。魔法で冷ましたら、薄く伸ばしたりして……布のように広く伸びたら、また固めて。

 とりあえず、形に出来たと思ったのだが。



 パリン。



 冷めたと思ったら、あっという間に砕けてしまった。しかし、これはまだ予想の範疇だ。


「火を入れ過ぎてもいけなかったか」

「配合の比率は?」

「硬すぎたら……包装紙には使えないし」


 いきなり出来たら、ヴィンクス氏がとっくに出来ているはずだから……これくらい大丈夫。

 とにかく、もっともっと配合などを変えて試していこう!!
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