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第481話 後方支援するため

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 ケントから魔法蝶が届いた。

 なんと、神に直接交渉を願い出たときた!? ラティストに交信を頼み、転生させられた以来の再会だったそうだが……なんともまあ、ケントらしい交渉の仕方だ。自身と契約している創始の大精霊がいるからこその方法だろう。

 とは言え、執務をしていた俺は卓からひっくり返ったがな!?


「……陛下?」

「いや~……俺のマブダチは相変わらずスゲぇなあ」


 爺にはまだ魔法蝶の内容を見せていないので、中身を渡してざっと目を通せば……流石の爺もよろけたぜ。


「……これは」

「だろ? ケントだからこそ可能だ」

「……ますます、未知の領域に行かれますな」

「それでも、俺のマブダチに変わりはないぜ」


 保存方法をポーションでも薬でもないものを生み出す。それをマーベラスとかに依頼すれば……鍛治師以上に錬金の能力をフル活用するだろうなあ? ケントはあんまり認識出来ていないが、マーベラスくらいのランクになれば調剤程度なら鍛治師でも出来るのだ。


「であれば、試作を重ねて……そのシリカゲルとやらが実現出来れば、ポーションパンを一定の期間保存する事が可能に」

「亜空間収納の会得は、ちぃっとコツがいるからな?」


 俺は扱えるが、国民もだが子どもが習得するには時間がかかる。だから、日持ちしにくいケントのポーションパンが一定の期間保存出来るとなれば……これは魔法以上に国内外の技術革命に発展するはずだ。

 俺が後方支援をすれば……一種のブランドになって、ヒーディアの特産品となり、貿易の材料にもなる。生産ギルドで管理していけば、悪用しようにバカどもが手出ししにくい。

 賢王とか呼ばれている俺を舐めんなよ?

 マブダチのためもあるが、国力を疎かにしようとは微塵も思っていない。


「であれば、そのシリカゲルに必要となる資材等の手配からでしょうか?」

「さっすが、爺だ。まずヴィンクスと共同会議をするだろうだからな? 連絡があり次第、工房に手配出来るようにしてくれ」

「お任せください」

「……忙しくなるぞ」


 保存のための薬品だが、体に直接悪影響を及ぼさない存在。

 それを世界で初めて生み出すのだ。俺も、尽力惜しまないぜ? ケント。
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