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第479話 久しぶりに神様と①
しおりを挟む「……あの阿呆に?」
「…………ラティスト。一応神様なんだから、おバカは言わないであげて」
ラティストにイケメン神様の話題を持ちかけたんだけど、いつも以上に不機嫌に眉間のシワが寄ったんだ。
「阿呆は阿呆だ。お前についても色々自分勝手な事をしただろう?」
「僕は現状を受け入れてるから大丈夫だって。……で、出来そう?」
「……出来るが、あいつと間接的に話すのか?」
「んー。ラティストだけだと脅すでしょ?」
「…………否定は出来ん」
と言うことで、リトくんはお家でご飯を食べるからとルカリアちゃんに送ってもらうことにした。リトくんに僕の秘密を話すのはもっと大きくなってからと決めているから、今日は帰ってもらおう。ルカリアちゃんは腕っぷしだと僕以上にあるから防衛については基本大丈夫だと自分から言ってくれたので、同伴してもらったんだ。
オープンキッチンを改めて展開させ、ラティストが準備のために僕のこめかみに手をかざした。これで交信出来るのかと待っていたら、ラティストと向かい合っていたはずなのに……ザーザーとテレビの砂嵐のようになって、視界が切り替わった。
真っ白い空間に変わり、地面には土下座した誰か。この光景には見覚えがあるぞ??
『な、何かしてしまったのだろうか!?』
半年ぶりくらいに聞くけど、たしかにあのイケメン神様の声だ。ぷるぷる震えているし、相変わらずビビりなんだなと逆に安心出来たけど。
「あの……ちょっとお願いがあって、ラティストに交信頼んだんです」
『む? その声はケントか?』
「はい。神様には、違うふうに見えているんですか?」
『……穏やかな話し方のラティストだ』
「……そうなんですね」
ラティストの姿で僕の話し方は軽くホラーに映るんだろうなあ。けど、本題に移らせてもらおう。イケメン神様は僕だと分かれば、向かい合うようになってくれた。ラティストの方が背が高いから、ちょっとイケメン神様を見下ろす姿勢にはなったけど。
『……して。此度は何か?』
「はい。ポーションパンの流通は少しずつ需要されたとは思うんです。けど……効能の定着化とかを可能にしたくて」
『……我の采配では、か』
「それもいいんですけど。場合によっては、僕の力で操作出来ればとも思うんです」
『……加えて、保存法の改善もか?』
「そうです! 添加物使用とかも考えましたが……この世界にはないですし」
亜空間収納も人間の誰もが会得しているわけじゃない。だけど、この世界には薬品を含める添加物も存在しないんだ。
だから保存方法の提案もしようと思っていたら、イケメン神様も視野に入れていたみたい。どこかで見てくれていたのかな?
『……添加物であれば、ヴィンクスとの共同開発も可能だとあろうが……ケントとしてはあまり入れたくないのか?』
「……はい。味に影響が出そうですし、天然由来も悪くないとは思うんですが」
前世のコンビニとか、パン屋でも使うとこは使うんだけど……保存方法の改善はあっても、味に少なからず影響が出てしまう。今のポーションパンに慣れたお客さんとかをガッカリさせたくはないんだ……。
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