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第475話 バインミーの可能性
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サファさんの技術は、正直凄いと思う。
先代で、早くに亡くなったお父さんから学んだだけだって言ってたけど……手際もいいし、生地が生き生きしているバタールやバケットが出来た。
オープンキッチンじゃない普通の厨房で作ってもらったんで、もちろんポーションパンにはなっていない。
焼きたてをひと口食べたけど、味も一級品くらいの出来栄えだった。これは絶対美味しいバインミーが出来上がると思う!!
フランスパンは普通のと配合を変えて柔らかめに仕上げたものを魔法で冷まし……横に切り込みを入れてから、具材の説明に取り掛かることにした。
「具材は生で食べれる燻製肉とか、野菜でもいいんですけど」
僕のおすすめはこれだと、アボカドにスモークサーモンを用意した。ロイズさんに以前聞いて仕入れルートを教えてもらったんだよね?
「……生の魚!?」
「惜しいです。これも少し燻製されています」
「……ケントくん、これを具材に??」
「この組み合わせはですね? 使い方次第では……僕の故郷では女性に大人気だったんですよ!」
エリーちゃんやシェリーさんにはまだ食べてもらっていないけど……前世の日本では、サンドイッチだと女性向きの組み合わせだったんだよね。僕も仕入れた理由はそのサンドイッチを作ろうかなって思ってたんだけど……今回は譲ろうと決めた。
僕は僕で使い方を変えればいいだけだし。
「……女性向きか」
「うーん? 冒険者の女の人とかだと買いにくるかな?」
「宣伝次第ですけど……そう言う女性も体力凄いですから、たくさん食べますしね」
なので、エリーちゃん達以外の女性冒険者さんもポーションパンはポーション利用以外に食事として買って行く人もいるんだ。
その人達向けに考案するのも、デメリットにはならないはずだ。
「……この魚は焼くのか?」
「それもいいですけど……レモン汁と胡椒に絡めて、スライスしたアボカドに薄切りの玉ねぎとか」
今回はクリームチーズ無しで、薄ーくマヨネーズを入れて挟んだものを食べてもらう。
普通のと柔らめの、両方を作って食べてもらうと……。
「!? な、なんだ!? 溶けた!?」
「風味は独特だけど……美味しいよこれ!! ほんとに溶けた気がするよ!?」
「アボカドは熟成をうまく見極めたら、そんな食感と味わいがします。スモークしたサーモンとの相性は抜群ですし」
「……いいな、これ」
サファさんはお気に召したのか、柔らかい方をペロリと平らげた。
「少し固い方だとよく噛むし、腹にたまりやすい。……具材を変えれば、客も飽きを感じないかも」
「組み合わせは色々ありますからね。お肉は焼いたものだとベーコンの厚切りがいいと思います」
「! なるほど……勉強になった」
と言って、僕に握手を求めてきた。これを拒否する理由はないから、喜んで手を掴んだ。
「あとはご自分のアイデア次第です」
「ああ。……自分らしいパンを見つけられた気がしたよ」
「良かったです」
街のパン屋さんが、閉店しまくる事態を起こしたのは……僕に変わりないからね。少しでも役に立ちたいのは本当だ。他にも組み合わせをいくつか提案した後に、サファさんはポーションパンを少し購入してから帰って行かれた。ミハイムさんも仕事があるからと同じく。
(……他のパン屋さん事情、ロイズさんにも聞かなきゃ)
僕とサファさんのパン屋だけで……街のパン屋が成立するとは思えないもん。
魔法蝶で連絡を入れようとしたら、窓の方に赤い魔法蝶が飛んできて……僕宛なのか、トントンと窓を叩いてきた。
先代で、早くに亡くなったお父さんから学んだだけだって言ってたけど……手際もいいし、生地が生き生きしているバタールやバケットが出来た。
オープンキッチンじゃない普通の厨房で作ってもらったんで、もちろんポーションパンにはなっていない。
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フランスパンは普通のと配合を変えて柔らかめに仕上げたものを魔法で冷まし……横に切り込みを入れてから、具材の説明に取り掛かることにした。
「具材は生で食べれる燻製肉とか、野菜でもいいんですけど」
僕のおすすめはこれだと、アボカドにスモークサーモンを用意した。ロイズさんに以前聞いて仕入れルートを教えてもらったんだよね?
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「惜しいです。これも少し燻製されています」
「……ケントくん、これを具材に??」
「この組み合わせはですね? 使い方次第では……僕の故郷では女性に大人気だったんですよ!」
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僕は僕で使い方を変えればいいだけだし。
「……女性向きか」
「うーん? 冒険者の女の人とかだと買いにくるかな?」
「宣伝次第ですけど……そう言う女性も体力凄いですから、たくさん食べますしね」
なので、エリーちゃん達以外の女性冒険者さんもポーションパンはポーション利用以外に食事として買って行く人もいるんだ。
その人達向けに考案するのも、デメリットにはならないはずだ。
「……この魚は焼くのか?」
「それもいいですけど……レモン汁と胡椒に絡めて、スライスしたアボカドに薄切りの玉ねぎとか」
今回はクリームチーズ無しで、薄ーくマヨネーズを入れて挟んだものを食べてもらう。
普通のと柔らめの、両方を作って食べてもらうと……。
「!? な、なんだ!? 溶けた!?」
「風味は独特だけど……美味しいよこれ!! ほんとに溶けた気がするよ!?」
「アボカドは熟成をうまく見極めたら、そんな食感と味わいがします。スモークしたサーモンとの相性は抜群ですし」
「……いいな、これ」
サファさんはお気に召したのか、柔らかい方をペロリと平らげた。
「少し固い方だとよく噛むし、腹にたまりやすい。……具材を変えれば、客も飽きを感じないかも」
「組み合わせは色々ありますからね。お肉は焼いたものだとベーコンの厚切りがいいと思います」
「! なるほど……勉強になった」
と言って、僕に握手を求めてきた。これを拒否する理由はないから、喜んで手を掴んだ。
「あとはご自分のアイデア次第です」
「ああ。……自分らしいパンを見つけられた気がしたよ」
「良かったです」
街のパン屋さんが、閉店しまくる事態を起こしたのは……僕に変わりないからね。少しでも役に立ちたいのは本当だ。他にも組み合わせをいくつか提案した後に、サファさんはポーションパンを少し購入してから帰って行かれた。ミハイムさんも仕事があるからと同じく。
(……他のパン屋さん事情、ロイズさんにも聞かなきゃ)
僕とサファさんのパン屋だけで……街のパン屋が成立するとは思えないもん。
魔法蝶で連絡を入れようとしたら、窓の方に赤い魔法蝶が飛んできて……僕宛なのか、トントンと窓を叩いてきた。
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