スライムからパンを作ろう！〜そのパンは全てポーションだけど、絶品！！〜

第473話 アドバイスを

「直球でお願い！　助けてケント君！！」

「あ……はい？」


　ちょっと前にパンを買いに来てくれたミハイムさんが戻ってきたかと思えば。

　裏口からやってきて、しかも誰かを連れてこられた。見た感じ、ミハイムさんと同じくらいの歳の男の人。ちょっとだけ元気がないように見えるけど……なにかお困り事かな？


「あのね、彼は僕の幼馴染みのサファって言うんだ。これでもパン職人なんだ」

「……これでも、って言うな」

「さっきまでめちゃくちゃ落ち込んでたんだから！　でね、リオーネのパン屋がさ……ほとんど店じまいしてるの知ってた？」

「え？」


　ちょっと前まで、他のパン屋さんが競争意識でガチンコ勝負してるって……ロイズさんからは聞いていたのに？

　なんでいきなり店じまいにまで？

　僕のポーションパンは、あくまでポーション扱いなのに……何か、彼らの意欲を削ぐことをしてしまったのだろうか？？


「君が全部悪いとは思わない。けど……ここ半年で君もリオーネの一員として定着してきた。だから、食べたことがないパンが多くて……真似をしようにも無理だったかもしれない」

「……なるほど」


　日本では似たようなパンから自分の特色を意識したパンを作るのは可能でも……サファさんを含める他のパン職人さん達はそうもいかなかった。そもそもの製法が違うから、真似しようにも難しい。

　それが最初は意欲的になっても、どんどん難しさから挫折しちゃう……僕はなんてことをしてしまったんだろう。

　ただただ、美味しいパンを作っていただけのつもりでも周りに悪影響を及ぼしているだなんて予想外すぎた。


「……けどね。君のパンはポーション効果もだけど、味も本物。サファもそれはよくわかってくれたんだ」

「え？」

「本当だ。全部君のせいでパン屋が維持出来ないと傲慢な考えを持っていた。……だけど、今の俺のパン屋は親父から受け継いだ大事な場所だ。『普通』のパン屋でもどうやれば……残していけるか、正直わからない」

「ちょっとだけ。ちょっとだけ、アドバイスもらえないかな？　ケント君」


　僕だって、パン屋を経営するのがここで最初だけど……そもそもの用途が違うからなあ？

　でも、同じようなパンを作っても味の比較をお客さんにされてしまう。

　となれば、まずはサファさんの得意なパンを教えてもらおう！　そこからの改善だ！！


「サファさん！　作るのが一番得意なパンはなんですか！？」

「得意？　どう言うことだ？」

「そこを活かして、僕のお店のようなパンを一度作ってみましょう！！」


　で、教えてもらったのはバタールやバケットとかのフランスパン系だった。

　なら、フランスパン系サンドイッチの『バインミー』の登場だね！