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第462話 待ちに待った①

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「お待たせ致しました。こちらが、リクエストしていただいたパンになります」


 狭間に敢えて戻らず、リオーネの街並みをあちこち回りながら時間をつぶしていましたが。

 出来上がった頃合いに、スバルに戻ったのですが。きちんと出来上がっているらしく、木箱ではなく紙の箱にそれらは収まっていました。

 粒々のいちごたっぷりのクリームが、揚げて砂糖衣をまとったパンに挟まっているもの。もう片方は岩のように見えますが、香ばしい匂いの中にいちごのふんわりした甘酸っぱい香りもします。

 これらは……見たことがないパン達です!!


「……これは。パンですか?」

「部類としてはお菓子ですが、ポーションパンになっています。効能については中にメモ書きを入れていますのでご確認ください」

「……ありがとうございます」


 人間でもないので、ポーションの必要性はあまりないのですが。

 この人間の作るパンはどれもが美味揃い。菓子の部類とは言え、これもきっと美味しいに違いありません!!

 すぐに代金を払い、スバルを出て人混みに紛れたら溶け込むようにして狭間へと転移しました。


「……ん? 早いな」


 神もお待ちかねだったのでしょう。茶の準備をわざわざしてくださっていたのですから、すぐに箱を卓の上に置いて蓋を開けました。


『……やはり、美しい!』


 揚げたパンの方が特に気になってしまいますが……これは貴重なポーションパンなのです。

 まずは効能を見るのに、私には鑑定のスキルがないので紙を見れば……素晴らしい効能の一覧が記してありました。


「ふむ。向こうの世界で言うところの、シュークリームにドーナツか? ケントだから出来る仕上がりだろう」

『パンと言うより菓子の扱いだとか』

「向こうではな。だが、別にひとくくりしているわけではない」

『……なるほど』


 ああ……どちらから食べてしまおうか。

 やはりここは……神のおっしゃっていたシュークリームという方か。

 持ち上げると、見た目を裏切らず……ずっしりと重い。まるで小岩のようだ。だがそれだけ中身にいちごの何かが入っているのでしょう。

 いざ、と私はかぶりつくと……ふかふかの衣の後に、いちごの香りがする生クリームが押し寄せてきました!!?


「くくく……すごいことになっているぞ。シロト」


 不恰好になっているのは仕方がありませんね。

 衣から所々クリームがあふれ、私の顔のまわりにべっとりとついてしまったのですから。
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