上 下
457 / 560

第457話 ポーションの在り方

しおりを挟む
 ケント様が、この街のギルドマスター達の婚礼の儀に必要な……特別なケーキを依頼されたとはお聞きしましたが。

 多少はお菓子作りを嗜んでいたわたくしでも、全く知らないケーキですわ。無理もありませんが、ケント様は異世界から転生なされた特別な御方。わたくしを番としていただけた創始の大精霊でいらっしゃる、ラティスト様の契約者ですものも。それくらい特別な御方ですから……未知な食べ物をご存知なのも当然。


(それにしても……わたくしもお手伝いさせていただいたケーキですが)


 ふわふわしていて、力の加減次第で崩れてしまいそうですわ。ふるんふるんと揺れていても、倒れることはない。どのような質感なのでしょう? この試作をこの間された時は、わたくしは実家とのやり取りでスバルにはこれませんでしたから。

 そう、つい先日からですが……わたくしの持ち家のひとつの整理が終わったため、ラティスト様とご一緒に生活をしていますの!! 料理などは……ラティスト様の方がお得意なのでお任せですが、掃除などはわたくしが担当しています。

 それはさておき……リトくんも一緒に用意した数種類のソースに加え、飲み物はいちごミルクと言うのを飲めるそうです。

 異世界では浸透している飲み物だそうですが……いちごと牛乳が合いますの? ケーキの組み合わせはともかく。

 ですが、ケント様とラティスト様が作られた『シロップ』はとても美しい液体でしたわ! 宝石を液体にした輝きで、まるで貴族間に主に流通していたポーションのようです。


(……神のご意向とは言え、この世界の貴族もまだ一部ですが変わりましたわ)


 お父様は違いましたが、ポーションは貴族のモノと豪語する愚か者達。彼らを止める術を持てず、弱い貴族もですが市井の人間にはポーションを得る機会が限られていた。

 それを、ケント様はいとも容易く変えてくださった。陛下ともご親友になられたことが一番ですけど……あのじゃじゃ馬陛下が意欲的に動いてくださってますもの。今では、エヴァンス殿のポーションドリンクも含めて流通が飛躍的に伸びています。

 だから、わたくしもラティスト様の番として……少しでもお役に立ちたいですの。

 今回はケーキの試食ですが、これもポーションだなんて驚きですわ。リトくんが食べたいのを我慢する顔が可愛らしく、カウルさんがまあまあと宥めています。まるで、家族のようなこの団欒が……とても愛おしいですわ。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

【完結】人生2回目の少女は、年上騎士団長から逃げられない

恋愛 / 完結 24h.ポイント:56pt お気に入り:1,127

メロカリで買ってみた

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:10

紅雨 サイドストーリー

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:4

アンバー・カレッジ奇譚

ファンタジー / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

転生したらオメガだったんだけど!?

BL / 連載中 24h.ポイント:35pt お気に入り:163

ほろ甘さに恋する気持ちをのせて――

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:17

梓山神社のみこ

キャラ文芸 / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

ホロボロイド

SF / 連載中 24h.ポイント:0pt お気に入り:0

文化祭

青春 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:1

処理中です...