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第452話 選んでもらいましょう③

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 お師匠さんはどれでも美味しいと言って食べてくれたけど、エリーちゃんはフルーツタルトが気になったのか取り分けたお皿をしばらく眺めていた。


「それがいいの?」

「うん。綺麗で、宝石みたい」

「乾燥防ぐ艶出しってお化粧もしてあるからね」

「水じゃないの?」

「洗ったけど、時期的に乾きやすいし……ナパージュって乾燥防止の食べられる液体を塗っているんだ。ミハイムさんに似たものを教わったんだよ」

「甘いの?」

「甘いよー? 食べて食べて!」


 薦めたらぱくっと食べてくれる顔が可愛いったらもう!!

 ぎゅってしてあげたいけど、今は場違いだから我慢だぁ。エリーちゃんは飲み込んだら、さらに顔がキラキラし出した。ポーションの効果とは別の意味で。


「すっごーい!! 甘酸っぱいだけじゃなくて、甘いし香ばしいし美味しい!!」

「崩れやすいのが欠点だけど、こう言うケーキもいいでしょう?」

「うんうん。ギルマス好きそうだなあ……」

「そうだな。ルゥは甘党だが、控えめなのもきらいではなかった筈だ。……時期としてはベリーもいいが、他の果物も良いかもしれん」


 柑橘系。

 りんごや桃。

 梨や葡萄もいいなあ。

 パンもだけど、ケーキも材料次第でバリエーション豊富だから……食べ飽きないんだよね。カロリーはさておき。


「うーん。同じ女性側の意見も踏まえるとエリーちゃんの選んだのもいいけど……一個問題が」

「問題?」

「お師匠さん、ロイズさん達にウェディングケーキの話ってどこまでしました?」

「ケーキ入刀とファーストバイトくらいだな」

「それですそれ!!」

「……あたしにわかんない話しないで」


 もちろんエリーちゃんにもちゃんと説明するよ。ラティストにカウルも頭こんがらがっている感じだし。ラティストは特に、ルカリアちゃんといずれ結婚するなら覚えて損はない!!


「ウェディングケーキに二人で大きなナイフを持って、軽く切るのがケーキ入刀。ファーストバイトはケーキの食べさせ合いって儀式。まあ、余興かな?」

「……それがニホンジンの結婚式には多いの?」

「人によるね」


 昔従姉妹の結婚式に出た時は完全に和装で懐石料理だったからなかったし。ただ、あとで聞いたけど本人と友達だけの二次会ではやったらしい。だから、ケースバイケースなわけで。


「そうだな。タルトは美しいが……切りにくいし、切り口から崩れやすい。となれば、ミルフィーユも却下した方がいいだろう」

「今回は候補として用意しただけなので、意見が聞けてよかったです」

「んー? じゃあ、チーズケーキやショートケーキがいいの?」

「変わり種と酒のつまみ向きならチーズケーキだな」

「ありですねー」


 と言うことで、皆で候補を絞るに絞って。

 一度ロイズさんに食べてもらうことになり、スフレチーズケーキを第一候補にすることで決まったのだ。
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