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第448話 あら探し

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 馬鹿。

 阿呆。

 大馬鹿野郎。

 どいつもこいつも、炙り出していたところを掻い潜ったのか、俺のマブダチのポーションパンだけでなく……当人を手に入れようとするど阿呆どもがいたとは!!

 俺も油断していたが、まさかおとなしめだと思ってたケイニッヒ子爵まで堕落してたとはなあ?

 ケントのポーションパンは効能のみならず、めちゃくちゃ美味い。誰をも虜にしてしまう至高の食事だ。無理もないというか誘拐計画まであったなんて。

 マーベラスが魔法蝶で知らせを寄越してこなければ、今頃ケントは捕まっていただけでなく、ポーションパン製造されまくりの日常を送らされていただろう。

 賢王とか呼ばれているかもしれんが、俺だってまだまだ二十歳程度の若造だ。落ち度はあれど、失敗を屈辱だと思う暇はない。

 とりあえず、ケントの方にはラーシャルゥらが駆けつけてくれてっから、俺はこのど阿呆を捕縛して牢屋に打ち込む方が優先。

 帰城してからは、爺やに頼んで全貴族の情報を洗いに洗い直した。改革で捕縛した連中の縁故している奴らにも、ケントを狙う奴らがいないとも限らない。


「……陛下。執務の合間になされるのはわかりますが、少し休息も」

「してられっかよ。俺のダチを利用しようとする阿呆はこれ以上炙り出し程度じゃ、意味がない」


 叩いてもほこりが出るのと同じように、わんさか出るだろうが。ポーション流通の手段が少しでも増えた今、ケントや弟子になったリトは貴重な人材だ。

 ヴィンクスも含めて国宝級の扱いにして当然だ。俺自身が動く必要がある。

 となればひとつ、と魔法蝶を飛ばしてあら探しをしていながら待てば、そいつは爺やが連れてきてくれた。


「急ぎって聞いたが、マジで荒れてんな?」


 クレイヴ王国の第一王子で、現在は【シリウスの風】のメンバー。

 レイザーが今は眼帯がないスッキリした顔を晒しながら、俺のところにやってきたのだ。


「……レイザー。クレイヴ王国の王族として問いたい。貴国の貴族は腐った連中が多いか?」

「…………頭が痛いぜ」


 っつーことは、こいつが状況を把握してるくらい、あちらの国王陛下も炙り出しとかで大変ってことか。

 どこも大変ですまんな……マジで!!
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