スライムからパンを作ろう！〜そのパンは全てポーションだけど、絶品！！〜

第442話 ちょっとひと休み

「はー！　終わった～～！！」


　捕縛作業がようやく終わり、身体のあちこちがゴキゴキ言うのが止まらない。あたし以外にも、シェリーやトラディスとかも似たように肩を回したり、腕を伸ばしていたわ。


「あー、疲れたぁ」

「ほんと、疲れた疲れたー」

「だよなあ？」


　半日以上駆けずり回れば、そりゃ疲れも溜まるもんよね。お腹も減ったし、ここはとケントからもらったポーションパンの出番ね！


「はい、配るわよー」


　皆どれでもいいって言ってくれたから、適当に渡して食べることになった。包み紙を外した中身は、燻製肉と玉ねぎ、チーズたっぷりの固めのパンだったけど……疲労がスーッと回復する感覚がすんごい！

　味も文句なしに美味しいんだけど、本当にケントのポーションパンは効果がすごいわ！


「「「うんめぇ！！」」」

「「美味しー！！」」


　他の皆も美味しい美味しい言いながら、効能が効いている証拠でもある発光が起きてたんで、しっかり効いてるってことね？


「うん、美味しー」


　ケントのパンは本当に文句無しに美味しい。

　効果もだけど、噛めば噛むほど味が口いっぱい広がっていく感じが堪らないわ。美味し過ぎて、下手なパン屋のパンが買えなくなるのよね？　けど、ケントのパンの美味しさは他のパン屋も認めているから、生産ギルドのオークションで獲得したのを研究したり。

　レシピの一部も公開してるんで、そこから研究している職人もいるくらい。けど、リト以外誰もポーションパンを作ることは出来ていないのよね。


(神からの異能ギフトとはいえ、あんなちっちゃな子どもに与えられたとは)


　ケントをこの世界に転生させた事へは、すっごく感謝している。あたしの大事な人になってくれただけでなく、ポーションパンを使って世界を救うかもしれない大きな存在になり得るから。

　だから、感謝しても仕切れない。

　カウルとラティストがいるのはもちろんだけど、あたしにもケントは必要不可欠な存在だ。その……愛しているから。

　その大事な人に、後継に必要な子が出来たのも嬉しい。ひとりだけに背負わせるのは大変だと思ってたから、小さな子どもでも手伝う存在は大きい。ルカリアもだけど、あの人はラティスト一筋だから。


(とにかく……馬鹿女どもは、ひとまず片付けたし。しばらくのんびりしようかしら)


　ケントとデートもしたいしー、と思ってたあたしは知らなかった。ギルドに戻ったら、また余計に面倒な騒ぎに巻き込まれる事になるだなんて……予想外な事に。