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第436話 僕の今
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僕は誰かを、本気で愛したことがない。
ジェフさんとお兄さんに出会うまでは、本当に生きるのが精一杯で……自分が犯罪者の一歩手前にいたことも知らなかった。不思議なパンの魔剣であるフランツも手にしなかったら……今の自分はなかった。
クレイヴ王国の第二王子だって真実も。
シリウスの風のメンバーである今も。
何もなかったんだ。だから、今を作ってくれた人達の役に立ちたい。そのうちの一人で、僕とは友達になってくれたケントさんのところに関与する事件を解決するのに、僕らは他の冒険者と合わせて動いている。
それが、ケントさんとパン屋を経営しているラティストさんを我が物にしようとしてる……嫉妬心の塊になった女の人達を止めるのに動いていた。
ひとつは僕のお兄さんが止めたんだけど、リオーネのギルマスが調べたらほこりが立つ勢いであちこち出て来たんだって。だから、一部の冒険者を招集してパーティーをいくつか組ませた。
僕らのシリウスの風には、ケントさんの恋人であるエリーさんに、警護担当では常駐しているギルアさん二人が加わった。どちらも顔見知りだし、エリーさんはメンバーのシェリーと特に仲が良いから信頼出来るんだ。
二人ともラティストさんのことはよく知っているし、ラティストさんに恋人が出来てからは強く応援している。その邪魔をするだけじゃなく、ラティストさんに固執する間違った方向性にはめちゃくちゃ怒っているんだ。
「「きゃあああああ!?」」
「はぁ!!」
「観念なさい!!」
だから、現場に行っても真っ先にお縄にかけちゃうから……男の僕らの出番がほとんどないんだよね。
「……楽だな」
「だなあ?」
「……暇だね」
「…………俺来た意味あります?」
「荷物持ちばっかだけだがな?」
どったんばったん騒ぎを起こしているのはここだけじゃないけど、下手に女の人を傷つけるわけにはいかないからってこともあってエリーさん達が動いてくれるんだが。
あまりの手際の良さに僕らは本当に暇だ。落ち着いてからぐるぐる巻きにして、事情を知ってる自警団に預けるって作業の繰り返しをしているだけ。
本当に色んな意味で、恋ってパワーは凄い。いい意味でも悪い意味でも。今回は両方が働いている。
だから、僕は仕事をしつつも思うんだ。恋って自分には出来るのかなあって。
【マスター? なんや、思いにふけっとんなあ?】
フランツが念話で話しかけてくれたけど、僕はため息しか出なかった。
『いやだって、恋ってよくわかんなくて』
【誰かを愛する力は無限大やかんな?】
『だからさ。今の僕には無縁だなって』
【そんな事言っとったら、実家の国王らに強制的に見合いさせられるんちゃう?】
『……ないと言えないなあ』
時々帰っているけど、その度に城に住まないのかって凄まれるし。僕はまだまだ未熟だし、将来王様になるお兄さんの手伝いが出来るようにとは思っているけど。
誰かを、受け入れて自分と共に歩んでいく覚悟がないんだ。今の生活でもまだ自信がないのに。
女の人だと、元気なマシュさんは浮かんだけど……マシュさんは、なんて言うか元気で仲の良いお姉さんみたいな感じなんだよね。違う違うと振り払った。
「おーい。運ぶぞー?」
ジェフさんに呼ばれたので、フランツとの念話を終わらせて行くことにした。そう言えば、ジェフさんはするって言ってたシェリーへのプロポーズをいつするんだろう?
ジェフさんとお兄さんに出会うまでは、本当に生きるのが精一杯で……自分が犯罪者の一歩手前にいたことも知らなかった。不思議なパンの魔剣であるフランツも手にしなかったら……今の自分はなかった。
クレイヴ王国の第二王子だって真実も。
シリウスの風のメンバーである今も。
何もなかったんだ。だから、今を作ってくれた人達の役に立ちたい。そのうちの一人で、僕とは友達になってくれたケントさんのところに関与する事件を解決するのに、僕らは他の冒険者と合わせて動いている。
それが、ケントさんとパン屋を経営しているラティストさんを我が物にしようとしてる……嫉妬心の塊になった女の人達を止めるのに動いていた。
ひとつは僕のお兄さんが止めたんだけど、リオーネのギルマスが調べたらほこりが立つ勢いであちこち出て来たんだって。だから、一部の冒険者を招集してパーティーをいくつか組ませた。
僕らのシリウスの風には、ケントさんの恋人であるエリーさんに、警護担当では常駐しているギルアさん二人が加わった。どちらも顔見知りだし、エリーさんはメンバーのシェリーと特に仲が良いから信頼出来るんだ。
二人ともラティストさんのことはよく知っているし、ラティストさんに恋人が出来てからは強く応援している。その邪魔をするだけじゃなく、ラティストさんに固執する間違った方向性にはめちゃくちゃ怒っているんだ。
「「きゃあああああ!?」」
「はぁ!!」
「観念なさい!!」
だから、現場に行っても真っ先にお縄にかけちゃうから……男の僕らの出番がほとんどないんだよね。
「……楽だな」
「だなあ?」
「……暇だね」
「…………俺来た意味あります?」
「荷物持ちばっかだけだがな?」
どったんばったん騒ぎを起こしているのはここだけじゃないけど、下手に女の人を傷つけるわけにはいかないからってこともあってエリーさん達が動いてくれるんだが。
あまりの手際の良さに僕らは本当に暇だ。落ち着いてからぐるぐる巻きにして、事情を知ってる自警団に預けるって作業の繰り返しをしているだけ。
本当に色んな意味で、恋ってパワーは凄い。いい意味でも悪い意味でも。今回は両方が働いている。
だから、僕は仕事をしつつも思うんだ。恋って自分には出来るのかなあって。
【マスター? なんや、思いにふけっとんなあ?】
フランツが念話で話しかけてくれたけど、僕はため息しか出なかった。
『いやだって、恋ってよくわかんなくて』
【誰かを愛する力は無限大やかんな?】
『だからさ。今の僕には無縁だなって』
【そんな事言っとったら、実家の国王らに強制的に見合いさせられるんちゃう?】
『……ないと言えないなあ』
時々帰っているけど、その度に城に住まないのかって凄まれるし。僕はまだまだ未熟だし、将来王様になるお兄さんの手伝いが出来るようにとは思っているけど。
誰かを、受け入れて自分と共に歩んでいく覚悟がないんだ。今の生活でもまだ自信がないのに。
女の人だと、元気なマシュさんは浮かんだけど……マシュさんは、なんて言うか元気で仲の良いお姉さんみたいな感じなんだよね。違う違うと振り払った。
「おーい。運ぶぞー?」
ジェフさんに呼ばれたので、フランツとの念話を終わらせて行くことにした。そう言えば、ジェフさんはするって言ってたシェリーへのプロポーズをいつするんだろう?
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