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第434話 具材作りを手分けして

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 さてさて次は。

 丸めた生地を軽く冷やしている間に、残りの具材作りだ。フィリングだけじゃなく、お肉屋さんで仕入れた長いソーセージや、お魚さんが保存食として作っている魚の油漬けや塩漬け。

 これらを作って、美味しい具材を作るんだ。


「はい、リトくん」

「はい!」

「揚げ物っていうのはわかる?」

「? どれですか?」


 料理初心者のリトくんには、もちろん一つずつ教えるよ!


「サクサクしたものとかかな?」

「! カレーパン!」

「そうそう。揚げ焼きって言うのもあるけど、油をたくさん使ってサクサクさせるのがほとんど」

「おー!」

「けど、今日は『焼く』からリトくんにはやってもらうよ? 油使うのは、焼く以上に怪我しやすいから」

「はーい」


 すぐにやりたがらないのは、ある意味ありがたい。駄々こねて嫌がる子どもは多いって、日本の時は聞いていたけど……リトくんは素直に聞いてくれる。

 だから、あとでカレーパンを揚げる時の見学をさせてはあげよう。


「今日はソーセージを焼いてもらうよ」

「……ソーセージ」

「焼くとパリッとしてて、お肉の味がすごいするんだー」

「……この棒?」

「このままだと食べれないから焼こうか」


 転がすようにジュージューとフライパンで焼いたら、香ばしい匂いにリトくんの顔がどんどん緩んでいく。


「うわぁ~……」

「焼きたてもいいけど、味がしっかりしてると冷めても美味しいんだ」

「……出来たて、ダメですか?」

「えっとね。普通のも作るけど、溶けたチーズをかけたのも作るよ」

「チーズ!」

「がんばろうね?」

「はい!」


 子どものほとんどがチーズ大好きだから、リトくんももれなく大好きらしい。途中で木べらでコロコロ転がす方法を教えてから焼くのを交代し、ゆるゆる笑顔のリトくんは出来上がりが楽しみな感じに。

 焼き終わったら、ちょっとだけ冷めたソーセージを切り分けてひと口だけあげたら……ほふほふしたけど、もっと笑顔になって可愛かった!


「美味しい?」

「おいひー!」

「次はツナマヨ作るよ!」

「……つなまよ?」

「魚の油漬けをほぐして、マヨネーズと塩胡椒で味付けすれば……お魚嫌いでも好きになると思うよ!」

「わーい!」


 ウィンナーを焼く時はちょっと手間取っていたけど、卵をつぶす時と同じような方法だからか。リトくんは、魚の油漬けを粉々にする勢いでフォークを使ってつぶしていった。
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