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第430話 弟子の修行②
しおりを挟む「ししょー! ふぃり……ふぃにんぐ? ってなんですか?」
「フィリング……うーん。簡単に言えば、パンの具材。中身とかかな? サンドイッチのように挟む場合も似たようにいうけど」
「……うー?」
まだ今日からスタートしたばっかりだから、わからない言葉が多くて当然。だから、一個ずつ教えていきますとも。
「まず、フィリングのひとつには卵で作ったサラダもそうなんだ」
「卵?」
「えーっと……サンドイッチの中に、黄色いの入っているのわかる?」
「! ふわふわ!」
「そう。あれもフィリング」
「ふぃ……にぃ」
「……言いにくいなら、具でいいよ?」
「……はい」
舌かんじゃいそうだったから、言い間違いは訂正させないようにして。せっかくだから、コッペパンの中身に使う卵サラダのフィリングを作ることにした。卵サラダのコッペパンはすっごく美味しいからね?
「まずは、スプーンでコットの卵のお尻を、軽く叩くんだ」
「? なんで?」
「綺麗に殻を剥くため」
「きれい?」
「大事なことだよ?」
「はーい!」
とん。
ころん。
とん。
って、二人で殻にヒビを入れて水をたっぷり入れた鍋にゆっくり沈めて。これをタイマーを使ってゆでてから、流水につけ……軽くヒビを入れて殻を剥けば。
「はい出来上がり」
「すごーい!!」
ツルツルつるりんな表面のゆで卵の出来上がりとなったわけだ。これもどんどん二人で作業を進めて、ボウルいっぱいになったら……次につぶす!!
「荒くつぶすんだ」
「えー!?」
「これが美味しいんだよ」
「……きれーなのに」
「あ、そうだ」
コッペパン生地を全部長細いのにする必要ないけど……何割かは食パンにしても良いかもしれない。
美味しく、ボリューミーなサンドイッチにしようと一部のゆで卵はそのままにしておくことにした。
「? どうするんですか?」
「ふふふ。僕も初挑戦だけど、リトくんも手伝って?」
「はい!」
さてさて、そろそろ生地の一次発酵が出来ていてもおかしくない。カウルのドウコンを確認しようとしたら、カウルから『お願いするでやんすー』と呼ばれた。
「はい、リトくん。これが最初に膨らんだ生地」
「わー!」
ぷくぷくしている生地に見惚れていたけど、ここからペシャンコにしていくことを教えなくちゃいけない。
バンバンって、パンチをしていくと……予想通り、『がーん』って顔色になっちゃった。
「こうしないと美味しいパンになりにくいし、もう一回膨れるから」
「……ほんとーに?」
「大丈夫だから」
まあ、こねて美味しくなる食材って限定されているし。これまで作るところ見てないなら、仕方ないよね?
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