スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第415話 少し面倒

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 色々整理すべき事が多過ぎる。

 俺の妹分であるルカが、創始の大精霊である『ラティスト=ルーア=ガージェン』のつがいになる事は決定事項であっても。

 いずれ、人間でなくなるからって……貴族の身分を簡単に捨てて、ケントの営む『スバルのパン屋』に勤めたいと言い出した。

 リトのこともあって、今日は大騒ぎどころじゃ済まない。式典明けに、俺はケントと遊びたいから会いに来ただけなのに……これじゃ、ルカの事をディルックに報せなきゃだから、帰らざるを得ないじゃねぇか!?


「……とりあえず、俺は帰るわ」


 んでもって、気を失いかけてたルカの方に近づき、肩を叩いた。


「……陛下?」

「お前も、一旦帰るぞ」

「まあ! 何故ですの!?」

「ディルックを説得するとは言ったが、自分からもきちんと言え!?」

「……そうですわね」


 しゅんと大人しくなる辺り、本気の本気なんだな。人間でなくなる覚悟の方は。

 これについても、爺やとかディルックには正直に言うだろう。反応はだいたい予想出来るが、どのパターンで返答するかは……実際に言ってみないとわからない。娘がいきなり人間やめるって言われたら、正気かとか言うだけで済まないだろうからなあ?

 とりあえず、もう一度帰るぞと言おうとしたら……ラティストがこっちに来て、ルカの唇に軽く口付けた。当然、皆の前ということもあってルカは卒倒しちまった。


「……ラティスト。お前変わり過ぎじゃねぇか?」


 無表情野郎から、なんでそこまで甘々に変貌するんだ!?

 あれか? 恋すると人間誰でも変わると言うあれと似たことか!? こいつは大精霊だけど!!


「……ルカリアが愛しいからだが」


 さらっと言うこと、表情が緩み過ぎて別人だと言いたくなる。しかし、そうも言ってられないのでルカを担いで俺はさっさとリオーネの街から出るのに、屋根伝いに跳んで転送魔法陣に向かった。
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