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第412話 本望からのキス
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やはり。
俺の心は……間違っていなかった。
俺は、やはり。
この人間の少女を……欲していたのだ。人間で言う本能と同じように。
己の手で、消滅させた闇の精霊の事を言えないではないか。
想いを自覚した期間は、奴よりは短いが。
甘い香り。
優しいその匂いも。
柔らかな身体も。
芯の強いようで、実は控えめなその心と魂も。
その全てが……愛おしい。
ようやく出会えた……俺の番。
だが、ルカリア自身が受けてくれるかどうか。
その答えが……まだ、俺を想ってくれている心が残っているかどうか。
聞くのが怖くて、俺は彼女を強く抱きしめたままでいた。
「ら……ラティスト、様?」
困らせているのはわかる。
しかし……離したくはない。
俺と番えば、人間でなくなることも告げていない。
だけど。
どうしても。
俺は……この腕の中の存在を手放したくなかった。
さらに力を込めてしまうと、さすがにルカリアも苦しくなったのかくぐもった声を上げたので……致し方ないが、緩めた。
少し顔を覗いてみたところ、ルカリアは顔をトマトのように真っ赤にさせて……泣きそうな表情にさせていた。
その扇状的な顔つきに、俺はもう……耐えきれず。
「……好きだ。ルカリア」
端的な言葉で告げ、思うがままに彼女の唇を奪った。意識体を飛ばす時は緊急だったために、感触を味わう余裕はなかったが……今度は違った。
涙に濡れていたのか、塩気があっても柔らかな唇。
ずっと啄んでいたくなるが、まだ彼女からの言葉をもらっていない。
それに思い至って、すぐに離してやれば。
彼女は大粒の涙をポロポロとこぼしていた。嫌だったか……と小さな声で問いかけてしまったが、ルカリアは強く首を横に振って。
「お……お慕いしておりましたの。う、嬉しゅうございます!」
その答えが……胸に染み込んでいくようで。
俺まで少し涙が出てしまったが、気にせずにもう一度……ルカリアの唇に自分のを重ねたのだった。
俺の心は……間違っていなかった。
俺は、やはり。
この人間の少女を……欲していたのだ。人間で言う本能と同じように。
己の手で、消滅させた闇の精霊の事を言えないではないか。
想いを自覚した期間は、奴よりは短いが。
甘い香り。
優しいその匂いも。
柔らかな身体も。
芯の強いようで、実は控えめなその心と魂も。
その全てが……愛おしい。
ようやく出会えた……俺の番。
だが、ルカリア自身が受けてくれるかどうか。
その答えが……まだ、俺を想ってくれている心が残っているかどうか。
聞くのが怖くて、俺は彼女を強く抱きしめたままでいた。
「ら……ラティスト、様?」
困らせているのはわかる。
しかし……離したくはない。
俺と番えば、人間でなくなることも告げていない。
だけど。
どうしても。
俺は……この腕の中の存在を手放したくなかった。
さらに力を込めてしまうと、さすがにルカリアも苦しくなったのかくぐもった声を上げたので……致し方ないが、緩めた。
少し顔を覗いてみたところ、ルカリアは顔をトマトのように真っ赤にさせて……泣きそうな表情にさせていた。
その扇状的な顔つきに、俺はもう……耐えきれず。
「……好きだ。ルカリア」
端的な言葉で告げ、思うがままに彼女の唇を奪った。意識体を飛ばす時は緊急だったために、感触を味わう余裕はなかったが……今度は違った。
涙に濡れていたのか、塩気があっても柔らかな唇。
ずっと啄んでいたくなるが、まだ彼女からの言葉をもらっていない。
それに思い至って、すぐに離してやれば。
彼女は大粒の涙をポロポロとこぼしていた。嫌だったか……と小さな声で問いかけてしまったが、ルカリアは強く首を横に振って。
「お……お慕いしておりましたの。う、嬉しゅうございます!」
その答えが……胸に染み込んでいくようで。
俺まで少し涙が出てしまったが、気にせずにもう一度……ルカリアの唇に自分のを重ねたのだった。
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