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第405話 禁忌の精霊①
しおりを挟む「「気持ち悪!?」」
「でやんすぅ!?」
「……なにあれ」
いろんな絵の具が混ざったようなところに、ラティストは立っていた。
あちこちを探しているようだけど、諸悪の根源である精霊も……ルカリアちゃんの魂も見当たらない。僕らが呼んでもラティストには届かないから、見守るしか出来ない。
「……焔だけでなく、闇も?」
一緒に水鏡を覗いていたジェイドは、さっきから激おこMAX状態だ。冷静のようにも見えるけど、怒りの感情を抑えるのが難しい感じ。
ラティストに色々無茶なことを言われてはいたが、状況を把握したジェイドでも……理解したら、怒りの方向が振り切ったんだろうね。
僕は怒るよりも前に、まだまだ不安な感情が拭えない。
ルカリアちゃんが無事か、ラティストとちゃんと帰ってこられるか……それがとても心配だから。
「……ジェイド。今どんな状況?」
「…………一言で言うと、面倒」
「うん?」
「前に、闇の精霊が堕霊……つまり、禁忌を犯した存在なのは話したよね?」
「う、うん」
「今回は、それがさらにパワーアップしたものと思っていい」
「……そんな」
ラティストが対処出来ることなの? って聞くと、ジェイドは少し息を吐いてから、首を左右に振った。
「正直言ってわからない。相手の精霊は、相当兄さんに恨みか何かしらの負の感情に染まって……禁忌に手を出した」
「……あの精霊の時のように、消しちゃうの?」
「……それだけじゃ無理だ」
「え?」
水鏡を見るように言われると、ちょうどエディ達が声を上げていた。
「なんだよあれ!?」
「魔物!?」
ラティストの前には……とてもとても大きな、黒くて大きな赤い目をしたモンスターが立っていた。肩には……ちょっと小さくて見えにくいけど、人影のようなのも見えた。
『けけけ! やっとおいでなすったか……創始の大精霊様ぁ!?』
耳障り最悪で、変な金切り声に聞こえる男の声。
あれが……ジェイドの言ってた、今回禁忌を犯した精霊?
全然神秘的にもなにも見えないくらい……まるで、悪魔のように見えた。
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