スライムからパンを作ろう!〜そのパンは全てポーションだけど、絶品!!〜

櫛田こころ

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第397話 ちょっとお邪魔します

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 ケントはどうしてるかしら?

 祝典日の出展で疲れたから……寝てるかしら?

 ちょっとだけ……ちょっとだけ、遊びに行ってもいいわよね? あたしは、その……ケントの恋人だもの。

 料理はケントには劣るけど、美味しい出店の持ち帰りは手土産代わりに買ってきたし、めちゃくちゃ寝てるかもしれないが……ちょっとくらいいいわよね?

 スバルの方に行けば、やっぱり営業はしてなかったけど……住居棟の方にはいるはず。ラティストやカウルもいるけど、別に二人きりじゃなくていいもの。ケントといることに意味があるんだから。


「……あら?」


 いい匂いがする。今日はケント、パン屋の方は営業していないのに? 微かだけど、パンを焼いた香りがするのよね。普段から冒険者業をしてるんで、獣臭を捉えるのに嗅覚は敏感だ。けど、魔物より美味しい匂いの方が大歓迎だわ。

 とりあえず、裏口を回ってみると匂いがまだ少し残ってた。もう起きて、何か食べていたのかしら? 買ってきたものは亜空間収納に入れているから、別にすぐ食べなくていいけど。ノックをしたら、すぐに出ては来なかったが……扉はちゃんと開いた。


「エリーはんでやんすか」

「あら、カウル」


 ケントの獣魔。ポーションパンに欠かせない魔導具にも変身出来る、おそらく高ランクのスライム。本人はケント同様に自覚はないらしいけど。

 でも、カウルが対応してくれるのは珍しいわね? こういうのは、ケントやラティストが多いのに。


「兄さんらは、ちぃっと手が離せなくて」

「もう起きてるの?」

「…………エディはんが、来てるでやんす」

「へ!? …………エディさんが?」


 危うく、『陛下』って声をあげそうになったが堪えた。代わりに、同い年だけど敬称で答えればカウルは身体を震わせた。


「あと、ちょっとお客人も」

「? 誰?」


 ヴィンクスさんかしら? と思っていると、カウルは予想外の名前を口にしたわ!


「……お貴族のお嬢さんでやんす。ラティスト兄さんを諦めきれてない、ルカリアはんでやんすよ」

「…………え? 貴族? ラティストを??」


 意味がわからないけど、ちょっとほっと出来た。ケント目当てじゃなくて、相手がラティストだったから。でも、ラティストならさっさと振る感じなのに……違うみたい。陛下もいらっしゃるけれど、あたしも上がらせてもらおう。

 アドバイス出来るかわかんないけど、ちょっとでも役に立ちたいから!
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