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第396話 大事な相談

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 ルカリアちゃんが倒れちゃった。これは、ちょっと予想外。彼女は行動派でいて、結構慎重な部分があるから気絶するのはびっくりしたもん。

 でもまあ……ラティストの素性を知っていて、尚且つ玉砕覚悟で来たのならそれも想定の範囲かもしれない。ラティスト自身の落ち込み様はともかくとしておいて。

 エディからは、ラティストにアドバイスとかをしてもらい……僕とカウルは隅っこでじっとしてた。ぼくはエリーちゃんとお付き合いしてても、ほとんど恋愛初心者だからね。エディはどうか知らないけど、少なくとも僕より知識としては知っていると思う。


「恋愛は難しいでやんすねぇ?」


 カウルは僕に抱っこされているからか、ご機嫌さんだった。


「僕も他人事じゃないけど、うまくいってほしいよ」

「人間と大精霊でやんすか。噂では、契りの約定をすると人間側は精霊になるとも言われているでやんすねぇ?」

「え? 人間じゃなくなるの?」


 ルカリアちゃんはその事を知っているのかな?

 お貴族さんだから知ってそうだけれど。ラティストが創始の大精霊だって知っている側の人間だし……恋心が諦め切れていないなら、知っていそうだ。それで、気絶した? ううん、あれは単純にお誘いへの驚きと嬉しさで頭がキャパ超えしただけだろう。

 でも、カウルの言ってた事実が本当ならば。

 ルカリアちゃんは精霊になっちゃうんだ。その場合……お貴族さんを止めるにしても、お父さんのディルック様はどう思うんだろう? 娘第一って考えは……日本とは価値観が違うから、それだけじゃないはず。

 エディも、王様としてか友達としてかは……そこを気にしているのか……ラティストには念入りにアドバイスしていた。


「……こんなとこだ。いいか?」

「……ああ」


 人間だけど、国王様。

 創始の大精霊だけど、普段はパン屋の製造員。

 なかなかにシュールな光景だとは思ったが、僕も聞きたいことを聞こう。カウルを抱っこして、エディ達のところへ行くことにした。


「ねぇ、エディ」

「あ?」

「カウルから聞いたんだけど……」


 と、契りの約定を含めて相談したいことを伝えたら……エディがお口あんぐりになっちゃった? なんで?


「……魔物と精霊では普通の情報か? カウル」

「でやんす」

「んなもん。ラティストもさっさと言え!」

「……忘れてた」

「おい!?」


 どうやら、人間側ではあんまり知られてない情報だった。これは、セーフなのかな?
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