スライムからパンを作ろう！〜そのパンは全てポーションだけど、絶品！！〜

第386話 師匠のポーション①

　リトくんの雇用契約は、その日は一旦保留となり。

　彼はご両親をもっと安心させたいことが出来たから、帰るって言ったんだ。何せ、お母さんのリアンさんがおめでただってわかったから。


「おめでとうございます」


　だから、僕からもお祝いの言葉を言うと、彼女はゆっくりと腰を折った。


「ありがとうございます。リトのことも……よろしくお願いします」

「はい。リアンさんもご無理のないように」

「！　ありがとうございます」

「ししょー、バイバイ！」


　今日は営業日じゃないから、パンとかは渡せなかったんだけど……また買いに来るからと言うことで、リトくん御一家は帰られた。少し前に、用事が出来たと言ったロイズさんとの打ち合わせはまた後日だし……エディも来たから、今日はのんびりしよう。

　普通に食パン作りしたけど、疲れはまだまだ取れていないからね。

　ただ、


「……ケントと遊びてぇ」


　って、エディが言うから、お昼寝が出来そうになかったんだ。


「夕方じゃダメ？」

「そう言う時こそ、ポーションパン使えよ？」

「一応商品だし、あんまり多用しないようにしてるんだよ」

「律儀だなあ？」

「前世だと栄養ドリンクとかあったけど」


　そっちはポーションほど効果がないしね。気休め程度だったけど、お師匠さんが作るポーションの方その効果は絶大だろう。エディから聞いたんだけど、お師匠さんはエディの祝典日の時にランクがＳランクになったんだって。

　僕なんかよりすごいや。


「んー。けど、俺は眠くねぇんだよな？」


　エディはちょっと首をひねって考えていたんだけど……亜空間収納を開けたと思えば、中から小瓶を取り出した。


「それは？」

「味を改良したって、ヴィンクスが俺に献上してきたポーション」

「え？　それいいの？」

「まだあるし、ケントは飲んだことないのか？」

「んー。基本的にパンの方もあんまり食べないようにしてたから」


　お師匠さんのポーション……実は一度か二度は飲んだことあるけど、漢方薬のように味がえげつなかったんだ。それを飲みやすくするきっかけになったのは、今恋人であるレイアさんのためだとも言っていた。

　その改良済みのポーションとなれば、きっと美味しいのだろう。

　とりあえず、鑑定のスキルでステータスを見てみた。



【『回復ポーション(改)』


　・重疲労大回復

　・関節痛回復


(味)オレンジジュースに近い



　】




　僕らが作るポーションパンより効能は低いけど……絶対美味しいやつだ。味まで書いてあるんだもん。

　エディにもう一度飲んでいいか聞いて、僕は小瓶の蓋を開け、ぐいっと飲み始めた。