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第368話 わざとじゃない
しおりを挟む『……何をしているんですか?』
「……今回はいいだろう?」
シロトにまた怒られはしたが……我は、ケントのためを思って動いたまで。
ケントには狭間で会った時に、色々言い渡してはしまったが……ヴィンクスの能力を上げても、二人だけど世界のポーションなどの回復薬を流通していくのは、正直言ってしんどい。
だからこそ、エリシオンがぼやいていたように後進の意味も考えて……あのリトという子供に能力ぽいものを与えたのだ。
夢を覗き見たときに、『これだ!』と思った我は悪くない!
『よくはありません。ケントは非常に困っているじゃないですか』
たしかに、シロトが指を向けた水鏡の中では……ケントの表情は『困惑』だった。
リトを蔑ろにはしないつもりでも、いきなり弟子として受け入れていいのか非常に悩んでいるようだ。
やはり……八つの幼子ではいかんかったか?
しかし、ケントは鑑定能力で我がリトに与えたものはもう知っているようだった。
「……しかしな。無垢な年頃の今こそ、すれた性格にはならんだろう?」
障害は多いかもしれんが、人材としては悪くない!
そう言い切ると、シロトは何故か大きなため息を吐いた。
『だからとはいえ……幼子ですよ? 背丈は小さいですし、危ない作業をケントがさせるはずもありません』
「……成長させちゃう?」
『禁忌を簡単に言わないでください?』
「……ごめんなさい」
やはりそれは却下されたので……とりあえずは、ケントの動向を見守るしか出来ない。
意識を介して助言はしてもいいだろうが、エリシオンもいるので大事には至らないだろう。
水鏡を覗き込んだが、ケントは大きくため息を吐いていた。
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