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第357話 改めて知り合う②
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びっくりもびっくりだった。
後半の営業からしばらくして、なんとお客さんの中にレイアさんが来ているってエリーちゃんが教えてくれたんだ。
裏口で待っててもらうように、エリーちゃんが誘導してくれたらしく……僕は、護衛にとカウルを向かわせてあげたから……多分大丈夫なはず。
いくら、精霊の呪いが解けて、目が見えるようにはなったけれど……お師匠さんから聞いた範囲だとリハビリを頑張って、お店を手伝っているんだって。お師匠さんとちょっとでもデート出来るらしいから、お師匠さんはとっても嬉しそうだった。
僕もエリーちゃんとデートする回数増やせてないから、見習わなきゃと思っても……お互い忙しいからなあ。言い訳でしかないけれど。
とりあえず、ひと段落ついてから裏口に向かったんだ。僕に用事があるらしいから、きちんと会わなきゃだもの。カウルと今楽しく話しているかなと思って裏口に向かったら……カウルが触手で、あやとりをしているのか色々レイアさんの前で披露していた。
「どうでやんす!」
「すごーい! カウルくん器用だねー」
「もっとすごい模様も出来るでやんすよー」
「おーい、カウルー。レイアさんお待たせしました」
仲が良いのは良かったけれど、レイアさんは僕に用事があるらしいから眺めているわけにはいかない。
僕が少し声を上げれば、カウルもだけど花束を持っていたレイアさんも僕に気づいてくれた。
「あ、こんにちは」
「こんにちは。僕に用事ですか?」
「はい。あの……今更なんですが」
と言って、持っていた花束を僕に渡してくれたのです?
「僕に?」
「ケントさんやラティストさん達のお陰もあって、私の目が戻ったんです。本当にありがとうございました」
「え、いえ。……わざわざありがとうございます」
大きな花束を受け取ると、作りたての花束独特の強い香りがしてきた。僕になんかもったいないとは思ったけれど、ご厚意を無碍にすることはしたくないから受け取りました。
色取りの花は、日本にいた時のどれにも該当しないけど……可愛いのや綺麗なのが品良く揃っていたから、好ましい印象を受けた。香りが強いから、これは寝室に飾ればいい香りに包まれて眠りやすいかもしれない。
もう一度お礼を告げると、レイアさんは首を横に振った。
「ヴィンクスさんもですが、ケントさん達もいなければ……私は今の生活がありませんでした」
「……そうですね」
あの精霊を止めるのが、あと一歩でも遅ければ……レイアさんは二度と人間側に戻ってこれなかった。それを止められたことで、今この人は僕の前にいられるんだ。お師匠さんとも、お付き合い出来なかったかもしれなかったんだから。
「だから、改めて言わせて下さい。本当にありがとうございました」
と言って、深く腰を折った。誠心誠意の行動に、僕は本当にこの人を助けてあげることが出来てよかったと実感出来た。カウルも同じ気持ちなのか、足元でぐずぐず言いながら泣いているしね。
とりあえず、用件はこれで終わることにして……僕は、収納魔法からレイアさんに、避けておいた肉まんをあげようとしたんだけど……『今日はお買い物にもきたんです』と言われたから、レイアさんはちゃんと列の方に並ぶことになりました。本当に……お師匠さんの彼女さんは、礼儀正しい人だなって感心しちゃったよ。
後半の営業からしばらくして、なんとお客さんの中にレイアさんが来ているってエリーちゃんが教えてくれたんだ。
裏口で待っててもらうように、エリーちゃんが誘導してくれたらしく……僕は、護衛にとカウルを向かわせてあげたから……多分大丈夫なはず。
いくら、精霊の呪いが解けて、目が見えるようにはなったけれど……お師匠さんから聞いた範囲だとリハビリを頑張って、お店を手伝っているんだって。お師匠さんとちょっとでもデート出来るらしいから、お師匠さんはとっても嬉しそうだった。
僕もエリーちゃんとデートする回数増やせてないから、見習わなきゃと思っても……お互い忙しいからなあ。言い訳でしかないけれど。
とりあえず、ひと段落ついてから裏口に向かったんだ。僕に用事があるらしいから、きちんと会わなきゃだもの。カウルと今楽しく話しているかなと思って裏口に向かったら……カウルが触手で、あやとりをしているのか色々レイアさんの前で披露していた。
「どうでやんす!」
「すごーい! カウルくん器用だねー」
「もっとすごい模様も出来るでやんすよー」
「おーい、カウルー。レイアさんお待たせしました」
仲が良いのは良かったけれど、レイアさんは僕に用事があるらしいから眺めているわけにはいかない。
僕が少し声を上げれば、カウルもだけど花束を持っていたレイアさんも僕に気づいてくれた。
「あ、こんにちは」
「こんにちは。僕に用事ですか?」
「はい。あの……今更なんですが」
と言って、持っていた花束を僕に渡してくれたのです?
「僕に?」
「ケントさんやラティストさん達のお陰もあって、私の目が戻ったんです。本当にありがとうございました」
「え、いえ。……わざわざありがとうございます」
大きな花束を受け取ると、作りたての花束独特の強い香りがしてきた。僕になんかもったいないとは思ったけれど、ご厚意を無碍にすることはしたくないから受け取りました。
色取りの花は、日本にいた時のどれにも該当しないけど……可愛いのや綺麗なのが品良く揃っていたから、好ましい印象を受けた。香りが強いから、これは寝室に飾ればいい香りに包まれて眠りやすいかもしれない。
もう一度お礼を告げると、レイアさんは首を横に振った。
「ヴィンクスさんもですが、ケントさん達もいなければ……私は今の生活がありませんでした」
「……そうですね」
あの精霊を止めるのが、あと一歩でも遅ければ……レイアさんは二度と人間側に戻ってこれなかった。それを止められたことで、今この人は僕の前にいられるんだ。お師匠さんとも、お付き合い出来なかったかもしれなかったんだから。
「だから、改めて言わせて下さい。本当にありがとうございました」
と言って、深く腰を折った。誠心誠意の行動に、僕は本当にこの人を助けてあげることが出来てよかったと実感出来た。カウルも同じ気持ちなのか、足元でぐずぐず言いながら泣いているしね。
とりあえず、用件はこれで終わることにして……僕は、収納魔法からレイアさんに、避けておいた肉まんをあげようとしたんだけど……『今日はお買い物にもきたんです』と言われたから、レイアさんはちゃんと列の方に並ぶことになりました。本当に……お師匠さんの彼女さんは、礼儀正しい人だなって感心しちゃったよ。
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