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第345話 マブダチの悔しさ

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 あと少し……あと少しで、ケントに会いに行ける!!

 そう思うと、執務は捗るに進んでいくんだが……いかんせん量が多い!? 爺は俺を倒させるつもりか!?


「微塵も思っておりませぬぞ?」

「心を読むな!?」

「お顔に出ていらっしゃっただけですぞ」

「うぅう……」


 生誕日以降に、ケントんとこにお忍びに行っていい許可を出してもらえたが……仕事がめちゃんこ多い!! 有効国や同盟国からの書簡が最近山のように増えてきやがったんだ!!

 内容も内容だ。ケントのポーションパンを、輸送出来ぬかどうとか……そう言うのには、いくらなんでも却下するがな?

 ケントのあの錬金術のような、ポーションパンの製造は神があいつにお与えなさった……特別な技術。そう簡単に、友好国だろうが量産して貿易材料にしようにも出来んのが現実だ。

 国内でも、リオーネの生産ギルド名物であるオークションでしか……店頭販売以外の入手ルートがない。下手にケントの負担を増やして、倒れられたりでもしたら……あの創始の大精霊が黙っているはずがない。

 怒られるで済まないからなあ? ケントも無茶しがちで、ちょっと風邪引くのにもラティストは異様に気にかけていたし。

 なので、必要以上の量産は却下だ。

 師となったヴィンクスですら……同じ転生者でもポーションをパンにすることは出来ないらしいからなあ?


「陛下。そう言えば、ケント様より魔法蝶の通達が」

「それは早く渡せよ!?」

「書簡を半分になされたからですぞ」


 相変わらず、俺の性格を熟知してやがる。ケントと遊びたいのを我慢してまで……仕事に集中させんとあとが怖いからなあ?

 とりあえず、通達を見てみると……その内容に、俺は女じゃないがハンカチを噛みしめたい気分になった!!


「ヴィンクスのこともだが、ギルマスらも!? なんでそんな重大案件に俺は同席出来なかったんだ!!?」

「……陛下だからですぞ」

「きぃー!!」


 どんどんくっつくって事態なのが羨ましい!?

 俺は……俺は。俺の順番もだが、なんでそんな楽しそうな場所に居合わせられなかったんだ!!?

 ヴィンクスの方は、楽しいって言ったらケントに怒られそうだけどなあ?

 とりあえず……詳しい情報を根掘り葉掘りあいつに聞きたいから、仕事もだが生誕日の式典もなんとか乗り越えてやるぜ!!
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