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第331話『ラム酒シロップミニクロワッサン』
しおりを挟む『くぁー! すごい匂いでやんすぅ』
エディの誕生日が近くなってきた僕は。お城に直接行けるかはわからないが、あるパンの試作をしていたんだ。
ベースはクロワッサン。ただし、サイズは手のひら。仕上げにある工夫をするのだ。それが、オーブンだけどカウルがう、ってなるくらいの反応が原因である。
「ラム酒とお砂糖だけのシロップだからねー?」
僕は、出来たてほかほかのミニクロワッサンにあるものを塗っていました。白だけど、ちょっと茶色がかっている液体。正体はラム酒と粉砂糖を合わせただけのシロップ。
これを出来たてのクロワッサンに塗ると多少のアルコールも飛ぶが、匂いはえげつない。ラム酒独特の芳香が部屋いっぱいに広がるのだ。
【『ラム酒たっぷりアイシングミニクロワッサン』
・靭帯損傷への完全回復(箇所問わず
・風邪完治(症状の重さ問わず
・貧血大回復
以上の効能となります
】
とまあ、ポーションパンとしての効能も相変わらず……えぐい結果だ。売りに出すかまだ決めていないが、これはエディにプレゼントするつもりで試作したクロワッサンだからなあ。エディはしばらく会ってないけど、喜んでくれるだろうか?
「……匂いがすごいな」
ラティストの鼻でもすごい匂いだからか、きゅっと顔をしかめていた。申し訳ないけど、この作業は重要だから我慢してもらうしかない。
「きっと、甘くて病みつきになっちゃうよー」
晩酌は特にしない僕らだけど、ラティストってお酒強いイメージがあるから、多分大丈夫だと思う。僕は転生したとは言え、普通かな? エディと飲みに行った時はラティストがアルコール抜いてくれたけど。
とりあえず、出来上がったラム酒シロップのミニクロワッサンはアイシングがかかったように、白っぽくシロップが固まった仕上がりになっていた。
一個ずつ手に持ち、僕らが食べ始めるとクロワッサンの独特のサクサク音がオープンキッチン内に響く。
「ふぉ!」
「美味しい~!」
まだちょっとあったかいけど、クロワッサン特有のサクサクした層に。上に塗ったラム酒シロップのあんまい香りと甘さが絶妙で。
もぐもぐするのを、やめられない。止まらない!!
僕とカウルはほぼ数口でペロリとひとつ食べたけど……ラティストが、静かだったんだ。
「に、兄さん?」
僕が呼ぶ前に、カウルがラティストを呼んだんだけど……ラティストはいつも以上に無表情でした!? 美味しくなかったのかな!?
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