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第324話 色々夢じゃない②
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上手くいくかどうかは……レイアが飲んでみてからでないとわからない。渡したポーションを、レイアは大事そうに持ちながらゆっくりと口に飲み口を近づけていく。
匂いもはじめて嗅ぐものだろうが、彼女のために飲みやすいように精製したポーションだ。不味くはないと思うが……小豆ミルクなど、この世界では存在していないはずだ。ためらうのは仕方がないはずが、レイアはゆっくりと飲み始めてくれた。
細い首の、喉元が飲み込む動きをしてくれ……少し待つと、レイアは瓶から口を離した。
「……美味しいです!」
瓶を離してから、すぐにその言葉をくれた。味への問題がないことに喜びは感じたが、まだ喜びは途中だ。本題は彼女にかけられた呪いの解除。効果は出たか? と少し待つと、ポーションの効能が利き始める証である発光が表れ……薄ピンクの光にレイアの姿が一瞬見えなくなっていったが。
光が消えていくと、レイアの身体全体がキラキラと輝いていたのだ。まるで、全てを浄化された彼女ように……美しく磨かれてしまったと言う感じに。
「……レイア。見えるか?」
おそらく成功だろうが、まずこの質問に答えて欲しかった。解呪出来たとしても、肝心の目が治っていなくては意味がない。
私が少し自信のない声をかけたところ、レイアは私に顔を向け……首を強く縦に振ってくれた。
「……はい! はっきりと、先生のお顔が見えます!! 今までと全然違うんです!! 色や形がはっきりとしてて!!」
彼女の喜びの表れ様に、本当に成功出来たことが嬉しくて仕方がなくて……私はつい、彼女との距離を詰めて抱きしめてしまった。
「……良かった。本当に」
「せ、先生?」
「レイアが治ってくれたのもだが……無事で良かった」
あと一歩。あの時、上から勢いで精霊を足蹴にしてしまったが……一歩遅ければ、レイアはこの世から消されていたかもしれない。人間としては。
だから今……私の目の前に、側にいることが嬉しくて仕方がなかった。ポーションの方もなんとか効能を発揮してくれて良かった。目が完全に治ったと言うことは……これで、レイアは普通の女性に戻れたのだ。
だから、ここで私は彼女に言うことにした。自分の想いを。
柔らかい身体から離れるのは名残惜しいが、私はレイアを離して……手だけはしっかり掴んだ。
「せ、先生?」
何を言われるかわかっていないだろうが。ジェイドに指摘されてなければ気づかなかったが、ここまで明確に好意への表情をされては……嬉しくないわけがない。改めて、私は自分の気持ちを自覚した。
「レイア。私がこのポーションを作ったのにはもうひとつ理由がある」
「……理由、ですか?」
全く気づいていないようだが……ここは言う覚悟を決めた。どうか、拒絶してほしくないと少しばかり弱い気持ちも抱えながら。
「……私は、君を想っているからだ。好きだ、レイア」
出来るだけシンプルに告げたのだが、レイアはどんな返事をくれるか……と顔を覗き込みながら待ったのだが。
彼女は、すごく顔を赤くしてしまい……またキャパオーバーと言わんばかり気を失った!? ほとんど返事に近い反応だが、ちゃんと言葉として欲しいのに!? と思っていると。
「はぁい! ヴィー、ちゃんと言えたかしらん?」
お邪魔虫のルゥが、何故か腰にエリザベスとケントをぶら下げながらやってきた……。おそらく、ケントらはルゥを止めようとしたがこいつの怪力で引きずられてしまったのだろう。
告白は中途半端で終わってしまったが……少ししてレイアは目を覚ましてくれて、その時にきちんと口にしてくれたのだ。
「先生が大好きです!」
と、嬉し泣きをしながら、はっきりと。
皆の前だったが、私は思いっきり彼女を抱きしめたのだった。
匂いもはじめて嗅ぐものだろうが、彼女のために飲みやすいように精製したポーションだ。不味くはないと思うが……小豆ミルクなど、この世界では存在していないはずだ。ためらうのは仕方がないはずが、レイアはゆっくりと飲み始めてくれた。
細い首の、喉元が飲み込む動きをしてくれ……少し待つと、レイアは瓶から口を離した。
「……美味しいです!」
瓶を離してから、すぐにその言葉をくれた。味への問題がないことに喜びは感じたが、まだ喜びは途中だ。本題は彼女にかけられた呪いの解除。効果は出たか? と少し待つと、ポーションの効能が利き始める証である発光が表れ……薄ピンクの光にレイアの姿が一瞬見えなくなっていったが。
光が消えていくと、レイアの身体全体がキラキラと輝いていたのだ。まるで、全てを浄化された彼女ように……美しく磨かれてしまったと言う感じに。
「……レイア。見えるか?」
おそらく成功だろうが、まずこの質問に答えて欲しかった。解呪出来たとしても、肝心の目が治っていなくては意味がない。
私が少し自信のない声をかけたところ、レイアは私に顔を向け……首を強く縦に振ってくれた。
「……はい! はっきりと、先生のお顔が見えます!! 今までと全然違うんです!! 色や形がはっきりとしてて!!」
彼女の喜びの表れ様に、本当に成功出来たことが嬉しくて仕方がなくて……私はつい、彼女との距離を詰めて抱きしめてしまった。
「……良かった。本当に」
「せ、先生?」
「レイアが治ってくれたのもだが……無事で良かった」
あと一歩。あの時、上から勢いで精霊を足蹴にしてしまったが……一歩遅ければ、レイアはこの世から消されていたかもしれない。人間としては。
だから今……私の目の前に、側にいることが嬉しくて仕方がなかった。ポーションの方もなんとか効能を発揮してくれて良かった。目が完全に治ったと言うことは……これで、レイアは普通の女性に戻れたのだ。
だから、ここで私は彼女に言うことにした。自分の想いを。
柔らかい身体から離れるのは名残惜しいが、私はレイアを離して……手だけはしっかり掴んだ。
「せ、先生?」
何を言われるかわかっていないだろうが。ジェイドに指摘されてなければ気づかなかったが、ここまで明確に好意への表情をされては……嬉しくないわけがない。改めて、私は自分の気持ちを自覚した。
「レイア。私がこのポーションを作ったのにはもうひとつ理由がある」
「……理由、ですか?」
全く気づいていないようだが……ここは言う覚悟を決めた。どうか、拒絶してほしくないと少しばかり弱い気持ちも抱えながら。
「……私は、君を想っているからだ。好きだ、レイア」
出来るだけシンプルに告げたのだが、レイアはどんな返事をくれるか……と顔を覗き込みながら待ったのだが。
彼女は、すごく顔を赤くしてしまい……またキャパオーバーと言わんばかり気を失った!? ほとんど返事に近い反応だが、ちゃんと言葉として欲しいのに!? と思っていると。
「はぁい! ヴィー、ちゃんと言えたかしらん?」
お邪魔虫のルゥが、何故か腰にエリザベスとケントをぶら下げながらやってきた……。おそらく、ケントらはルゥを止めようとしたがこいつの怪力で引きずられてしまったのだろう。
告白は中途半端で終わってしまったが……少ししてレイアは目を覚ましてくれて、その時にきちんと口にしてくれたのだ。
「先生が大好きです!」
と、嬉し泣きをしながら、はっきりと。
皆の前だったが、私は思いっきり彼女を抱きしめたのだった。
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